No.2 いきなり出会い色々・・・

「申し遅れました。わたくし、チュン・フェルナンデスと申します。先ほどは危ないところをありがとうございました。」

そういいながら頭をなでてくる。わたしゃ服着るので忙しいんだけど?

何故なでる?

そしてオナニー、何故に横でうらやましそうに見てる?

「・・・姫様に頭なでられるなんて、うらやましすぎる。」

あぁ、うらやましそうじゃなくてうらやましいのね。

「っていうか、オナニー?この人お姫様なの?」

「そうですよ。ここフェルナンデス王国の第一王女、チュン様です。」

オナニー発言はスルーするのか。

「って、わたしの名前はナニーです!オはつけないでください!!」

やっぱ気にしてるのか。

「オ?ナニー?・・・ひょっとして勇者様のお世話係のナニーですか?」

「はい。その通りです、姫様。」

「・・・主に下のお世話係でげふっ!!」

「どうかなさいましたか?トーヤ様?」

「・・・なんでもないです。」

オナニー、あんたの肘が直撃しただけだよ。身長差があるからコメカミにね。

「そうですか。ではこの方がトーヤ様なのですね?」

「あれ?わたしの名前、知ってるんですか?」

「はい、もちろん存じ上げております。っと、こんなところで立ち話もなんですし、お礼もしたいので城までおいで願えませんか?」

そういいながらもまだ頭なでてるし・・・これ、いつになったらやめてくれるの?

「姫、そろそろ時間が・・・」

さっきリーダーっていわれてた騎士が姫に話しかける。

「わかりました、セバスチャン。」

セバスチャンっていうのか・・・執事じゃないのね。なんかがっかりだね。

そのセバスチャンのよこで姫様が何か書いている。書き終わった紙をこちらに差し出す。

「これを。城の者にみせれば私のもとまで案内させますので。」

そういい残すと馬車に乗り込み去っていった。


受け取った紙は名刺の用なものだった。って、お姫様が名刺?

しかも全部手書き。何故かカタカナだし。

「いいなぁ、トーヤ様。姫様の直筆ですよ?」

「ふ~ん・・・それにしても・・・」

「?」

「・・・きったない字だな。チュンって書いたんだよな?」

「ですね、そのはずですが?」

「・・・・手マンにしか見えんぞ?」

「トーヤ様ってすぐ下ネタに走るんですね・・・」


「で?トーヤ様?」

ナニーの案内で街の宿屋に泊まることにした。

どうやら本当に帰れないらしい。

「で?とは?オナニー君?」

「オはつけないでください。いつ行かれますか?姫様のところ。」

「手マンの姫様?」

「とことん失礼ですね。聞かれたら大変ですよ?」

そうは言っても手マンにしかみえなかったし。

「で?いつにします?」

「・・・う~ん、行かなくてもいいんじゃね?」

「は?」

「なんかめんどくさいじゃん?」

なんかね?こういうのってほら、色々面倒ごとのフラグって感じがするのよね。

「・・・行かれないのですか?」

「うん、めんどくさいからやめとく。」

「・・・・・」

横で呆れたような顔をしているナニーは放っておいてベッドに横になる。

ゲームを始めたつもりがなんでこんなことに・・・とは思うけど

異世界かぁ・・・

帰れないってのはちょっと残念だけど・・・

「ん?そういえば・・・俺ってなんでこの世界に呼ばれたの?」

今更何言ってんの?って顔でナニーが見てくる。

「・・・今更、なに言ってるんですか?トーヤ様?」

はっきり言っちゃいますのね?

「そうは言っても、俺、聞いてないぞ?」

帰り方わからないってのと戦い方位しか聞いてない。

「そうでしたっけ?流れで察して頂けてるかと思ってましたが・・・」

無茶言うなよ・・・とは思うけど、まぁ、勇者とか言われてる段階で何させたいのか大体予想つくけど。

「あなたにはこの国の勇者として魔王討伐をして頂きたいと・・・」

やっぱりか。

「ごめんなさい、遠慮します。」

「へ?」

「面倒くそうだからパスで。」

「な、何を言ってるんですか!」

「そう言うのは他人に頼らずに自分らで何とかして下さい。」

はっきり断らないと後で面倒くさくなりそうだからね。

「・・・・」

「だいたいさぁ、なんで俺、昔のキャラ引き継いだかわかってる?今更、経験値稼ぎとかレベル上げ面倒くさいからだよ?」

「そ、そんな・・・私達がどんなに苦労して召喚したと思ってるんですか?」

「知らんわ。俺、はっきり言って勝手に無理やり連れてこられただけだもん。」

「・・・だもんって・・・」

「そんな訳で俺は何もしないから。他当たってくれる?んじゃバイバイ♪」

そう言ってナニーを部屋から追い出す。外で何か叫んでるけど知ったこっちゃ無い。

薄情だって?知るかよ。結構、怒ってるよ?俺。


「はぁぁ・・・まったく、面倒くさい事になったなぁ。」

ナニーがドアをゲシゲシと叩くので開かないようにドアを両手で押さえながら溜息と共に

愚痴がついて出る。

だいたい、なんで俺が勇者だよ。

ちょっと前にはまってたゲームの続編が出たからって始めただけなのに・・・

異世界召喚とかあり得ないだろ?

俺はこう言う召喚物のラノベとかそれなりに読んだ方だ。でも、毎回思うのは

なんで勇者とかすぐ呼びたがるのか?ってのと自分でなんとかしろよ・・・とか。

呼ばれる側になってその思いは強くなった。

自分らの未来、他人に任せてんじゃねぇよってね。

「だいたい、勇者って柄じゃねぇんだよな。・・・」

正義感とか俺に求めないでくれよ。面倒くさい。

「・・・まぁ、魔王とかならやっても良いかもだなぁ。」

「それは本当ですか!?」

「うんうん・・・って?」

いきなり背後から声を掛けられてちょっとびっくりした。

ってか、ここ、俺の部屋な訳で・・・背後ってことはモロに部屋の中。

振り返るとベッドの上に一人の幼女が座っていた。

銀色の髪を頭のてっぺんでまとめている。

目は右目が緑、左目が赤。

服装はボンデージぽい、かなり露出が多目で背中に黒いコウモリの様な羽根に矢印みたいな尻尾。

ん?待てよ?これ、髪の色以外、俺にそっくりじゃね?

イイッ!!可愛すぎる!ペロペロしたい!!おっと、思考が暴走しかけた。

落ち着け俺。・・・えぇっと、この羽根に尻尾って事は・・・

「・・・・ロリ悪魔?」

「惜しい。ちょっと違う♪」

そう言ってニパッと笑う。くっそ、可愛いな。

「はじめまして、ロリコンの勇者さん。わたしはナル。悪魔じゃなくて魔王ね。」

こいつ、人の心読めるんか?まぁ、ロリコンなのは否定しないけど。

「あのさぁ、その勇者ってのやめてくれない?そんな柄じゃ無いから。」

「あぁ、そういえばそんなこと言ってたっけね。んじゃ・・・ロリコンさん?」

「ストレート過ぎだろ!!」

「でも否定はしないんだ。あははは♪」

「否定も何も、その通りだしな。」

「潔いね。ところでなんだけど・・・さっき言ってた事ってホント?」

「さっき?」

「魔王ならやっても良いって言ってなかった?」

「あぁ、言ったな。でも、俺、働かないよ?」

「やって見る?」

「何を?」

「魔王」

「・・・・へ?」

「わたしに代わって魔王やらない?」

「・・・うん、やらない。面倒くさそうだし。」

「そんな事言わないでさぁ、代わってよ。面倒くさく無い様にするから。とりあえず・・・そうねぇ、名前だけ貸してる感じで良いから。実務はわたしがやるよ。」

あ、それなら良いかも?

「・・・一つ質問。何で俺なの?」

「あぁ、んとね、昼間のゴブリンとの戦闘見てたのよ。めちゃくちゃ強いなぁと。それに・・・」

それに?

「あなた、元々は男よね?」

「その通りだけど、それが?」

「今の姿、ゲームってのやってた時の体なんでしょ?」

「あぁ。」

「性別変えてるのって・・・まさか『ウホッ!』って趣味は無いわよね?」

「やめい!想像しちゃったじゃないか!」

思わずお尻押さえてしまった。変な汗出るし。

「・・・うん、その反応でわかったわ。やっぱりあなたしかいないみたい。」

「意味がわからん。」

「ぶっちゃけて言うわね?・・・こほん。」


「好きです。わたしと結婚して下さい。」





「はぁぁ?」

あかん、思考が追いつかない。

「いやまてまてまて。何でそうなる。」

「嫌?百合ん百合んなロリってどう?」

「大好物です!!」

「あは♪じゃぁ問題ないよね?」

「そうなのか?いやでも・・・あれ?」

同性でも結婚できるの?とか中身おっさんとは言え今、幼女な俺、エッチの時どうするんだ?とか色々考えてたらいきなりドアが勢いよく開いた。

そこには相変わらず裸エプロンな人、オ・ナニーさんがかなりご立腹な様子で立っていた。

「問題オオアリクイです!!!」



うん、とりあえず、仕切り直そう。

「・・・粗茶ですが。」

部屋にあったティーセットでお茶を入れ、自称魔王のナルに差し出す。

「ありがとう、いただきますね。」

にっこり笑って受け取るナル。うん可愛い。

彼女は部屋の中のテーブル前に座っている。

その対面には裸エプロンなナニーさん。

「・・・・」

無言でお茶を受け取るオナニーさん。ものすごい勢いで睨んでるし。

怖いよ?キミ。

「トーヤ君はお茶入れるのも上手なのね。」

一口、口にして満足そうに微笑む魔王ナル。

「和んでる場合じゃないでしょうが!!」

その向かい側ではテーブルをばんばん叩き怒鳴っているナニー。

「そんなカリカリしてると頭の血管、切れるぞ?」

「誰のせいですか!!」

「今時のお嬢さんはキレやすいのかしらねぇ?」

涼しい顔で宣うナル。その態度にさらに苛つくナニー。

「いいですか?トーヤ様!こいつは宿敵!倒すべき相手、魔王ですよ!?」

「ん~、俺の知ったこっちゃないな。さっき断ったじゃん。」

「そんなの聞ける訳ないじゃないですか!」

なんかだんだん腹たってきたな。

「勝手なこと言ってんじゃないぞ?なんでお前らに従う必要がある?」

「なっ?」

俺、連れてこられただけだもん。拉致、誘拐と変わらんやん、こんなん。

「何か頼むんならそれ相応の見返りが必要なんじゃね?」

当然の要求・・・だよね?俺の行ってる事って。

ただ働きなんてやだよ?



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ゲームのつもりが・・・異世界?勇者召喚?めんどくさい・・・ @ta92eda

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