あれ?ここどこ?王都探索中にて 前夜
「あれ?ここどこ?」
フロートは知らない町並みを見渡して混乱していた。
ことの始まりはヅィストの提案だった。
「王都を案内してやるよ!」
それは昨夜の夜のこと。伯爵たちと両親とで夕飯を食べ終わると、フロートはヅィストの部屋にいた。ヅィストがフロートと寝たいといったからだ。フロートとヅィストはお互いネグリージェを着ると火を消した部屋のベットで寝ながらおしゃべりをしていた。
「じゃあ、フロートは8つなのかっ!だと、俺の弟分だな!」
「何でそうなるの・・・」
「だって俺のほうが2つも年上だからなっ!」
えっへん!という効果音が出るように、ヅィストはベットの上で膝立ちとなり、胸を張って言った。フロートはそれに思わずクスクスと笑う。その光景にヅィストは不思議に思い、首をかしげた。
「・・・大丈夫か、フロート?どうかしたか?」
ヅィストはフロートがこうなっているのは自身のせいとは思っていないらしく、それにフロートはさらに笑うはめとなって。
「クスクスっ・・・、いやごめんごめん。なんでもないよ」
「え~気になるだろ教えろよ」
「なんでもないって。じゃあ、ヅィストは10歳なんだ」
フロートはヅィストに知られないように話をさっきの話題に戻した。
「え~、絶対はかせてやるからな・・・。そうだよ今年で11になるんだ」
「そうは見えないね・・・」
「なんか今言ったな~!」
小声で言ったフローとの言葉はヅィストに聞こえていたらしい。
「そうは見えないってなんだよ。立派にお前よりも年上なんだぞ」
「そういわれてもなぁ・・・」
ここにきてまだ一日目だが、ヅィストと話していて年上と思える言動はフロートが思うに皆無だった。逆にフロートよりも年下に思えるぐらいで・・・
「う~絶対、フロートを見返してやるんだからなっ」
「そうしてください」
「そうだ、見返してフロートをおとうと・・・」
“バタンッ”
いきなり部屋のドアが開いた。開けて入ってきたのは、伯爵家の侍女でヅィストの乳母のブラウンさんだった。
「坊ちゃん方、もう夜も更けておりますのにまだ起きていらしたんですかっ。お話は明日にして、今夜はもう寝てください!」
ブラウンさんはろうそくを片手に持っているせいなのか、その表情は二人には恐ろしく思えた。
「次にお話が聞こえたら、お部屋を別々にいたしますからね」
フロートとヅィストは首を何回も縦に振り、同意した。ブラウンさんはため息をついて部屋から出て行った。
「「・・・ふぅ~~~~~~~~~~」」
二人は同時に息を吐き、安堵を付いた。
緊張が解けたからか二人はクスクスと小さく笑った。
「それじゃあフロート、明日案内してやるよ。お前に案内してやりたいところがたくさんあるんだ」
それにフロートは頷く。
「うん。よろしくねヅィスト」
それから間もなくして二人の意識は夢の中へと旅立っていった。
告げられなくても ホタルブクロ @campanula
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