第5回 ~奄美の貴重な生き物~
※ これは文字媒体のラジオ放送です
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この放送では、皆様からのさまざまな奄美情報をお待ちしております。
ご意見、ご感想などがありましたらどしどしお寄せください。
なお、この放送はフィクションです。
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「うがみんしょーらん、名瀬高校一年生、
「こんにちはー。同じく奄民のミドリです。今日も、『ミドリとリコの“シマ唄きばらんばぁ~”』の時間がやってきました。どうぞ最後までよろしくお願いします。なお、この番組は『シマ唄の未来を考える、奄民』、奄美民謡研究部の提供でお送りします。と、いつもの口上を述べたところで、いきなりやけど、こないだのケ◯ミンSH○Wみた?」
「見たよー、
「いつか奄民のみんなでテレビとかでたいよね!」
「ラジオにはでてるけどな」
「そうやったわ。でもやっぱりちゃんと映像で動いてるところ見せたいやん? あたしたちの美少女っぷりを!」
「このラジオからは一ミリたりとも伝わってこないけどな」
「でも奄民部員はみんな美少女やん?」
「ラジオだったらなんとでもいえるからな。まあ、あとは
「『はげー』いってたね。はげー。全国デビューしてたね。はげー」
「『はげー、ほうらしゃー』ってね! さすがに全国デビューしたから、このラジオではげーいってもクレームこないかもな」
「全国のみなさーん! 驚いたらハゲですよハゲ!」
「のばせ! はげーって『
「あたしはリコちゃんのこと、スキやで?」
「ば、ばか! ラジオの放送中に何いってるんだよ!」
「『リュウキュウアカショウビン』の次くらいに」
「まって! ちょっとまって! アカショウビンの次って何? どういうこと?」
「順位でいうと、10、20、30……」
「二桁単位! カウントが二桁なんだけど! あたしのランクめちゃくちゃ低くないか、それ!」
「うそうそ、ちゃんと上のほうにいるから、アカショウビン」
「でもアカショウビンより下かあたしは!」
「いい声で鳴くよね、アカショウビン。はじめて聞いたときは鳥の鳴き声とは思わへんかったもん。ちなみに真っ赤な体をした鳥のことね」
「綺麗な鳥だよな。チュンチュンとかピヨピヨみたいないわゆる小鳥の鳴き声とは違うよね」
「ガイドブックなんかで『キョロロロロ……』って表現されてるけど、どっちかというと、クックルルルル……って感じやない?」
「おお、さすがミドリは耳がいいな。アカショウビンは地元ではその鳴き声から『クッカル』って呼ばれてるんだよ」
「あの声はいいわ。でも、フクロウ。あいつは怖い」
「あはは『リュウキュウコノハズク』な。確かに不気味だよな」
「奄美に来た最初の頃、夜中にあの声を聞いて正直ビビったもん。え? 何? 何の音!? って飛び起きそうになったし」
「夜にコホッ、コホッてよく通る声で鳴くんだよね」
「悪魔属性の感じするもんね、あれ」
「悪魔って……でも、野鳥観察なら奄美は見応えあると思うよ。ルリカケスは是非一度見てもらいたいくらい綺麗な鳥だからね」
「鳴き声汚いけどね、ギャーって。それはそうと、シマ唄にはあまり鳥とか動物って出てこなくない?」
「うーん、確かに……思い浮かぶのって、ウマ、シラサギ、イカ、エビ、チョウチョ……」
「最後、昆虫やねんけど」
「まあ、どうしても恋歌とか、哀歌とかが多くなるから、動物にフォーカスするってことは少なかったのかも」
「アマミノクロウサギとか、奄美にしか棲息してへん超貴重な生き物やのに、そういうのがシマ唄には出てこないのは不思議やない?」
「クロウサギが貴重だって知られたのは近年だからね。つい百年前までは、普通に食肉として食べられていたり、毛皮とったりしてたらしいし。それに、クロウサギって夜行性だろ? 昔の奄美の人は、危険な夜にわざわざ森に入るなんてことはしなかったんじゃないかな。だから、そもそも人とクロウサギの生息域が違ってたのかもしれない」
「へぇ、そんなもんかなんか。ちなみに、リコちゃんはアマミノクロウサギって見たことある?」
「生きてるクロウサギは一回も見たことない。ていうか、地元でも見たことある人結構少ないと思うけど?」
「そうなんや? いや、実はあたし、こないだみたんよ。クロウサギ」
「ウソでしょ?」
「ホントホント。この前、夜にお父さんの車で龍郷のビッグツーってスーパーに買い物に行ったんやけどね、せっかく出てきたからと思って、長雲峠を通って帰ってみようっていうことになってんよ」
「ほうほう、夜の長雲峠とはまたチャレンジャーな……」
「ほんでね、お父さんの車って屋根が、ガバッて全部開くから星空なんかも見えるんよ。やから、自然観察の森の駐車場あたりでちょっと星を見てから、秋名の方に向かって下ろうとしたら、おってんよ!」
「なんかいきなり出てきたな」
「道のど真ん中に、ハブ!」
「ハブかよ! いや、たしかにハブいるけど!」
「よく考えたらハブみるのも始めてやってんけど、最初木の枝かなんかが落ちてるんやとおもったんやけど、なんか変なぬめぬめ感があってね。あ、ハブやって思った」
「あれ、けっこう嫌だよな」
「ほんでね、道のど真ん中におるわけよ。ハブ。お父さんが踏まへんようにこう反対車線に車を避けてその脇を通り抜けようとしてんけど、そしたらキュッて!」
「キュッ?」
「そう、まっすぐやった体がこう、ぐねぐねっっていうの? 体を縮めてもう今から飛び付くでー、みたいな感じでね、しかもあたし助手席やってんけど、そっち側にハブおったから、うわぁ、来る来る! って軽くビビった」
「あいつら、本当にトラックとかにもアタックしてくるし、しかも、ハブって木にものぼるからね」
「後で気づいてんけど、屋根開いてたからもしホンマにとびかかられて、屋根から入ってこられてたらと思ったらぞっとするわ」
「危ないよ、本当に。夜の山なんて地元民は走らないもん」
「ほんでその峠道の終わりらへんで道端にクロウサギがいてんよ」
「あっさり出てきた! 特別天然記念物、さらっと出た!」
「遠目で、あ! うさぎおる! ってなって、あわててヘッドライトを消してんよ。逃げへんように。そしたら見失って」
「見失ったのかよ!」
「真っ暗やねんもん。 あー、見失ったー……と思って、仕方ないからヘッドライトつけたら、車の真正面におったわ」
「まだいた! けっこうウサギ余裕だな!」
「これが写真ね」
「……あ、本当だ。すごいね」
「いや、結構テンション上がったわ。クロウサギ」
「まあ、でも前にもいったけど、野猫とかが山で繁殖して、奄美の生態系に影響を与えたりもしてるらしいし、さっきのミドリの話みたいに、道端にいるのに気づかずに、はねてしまう事故もあるっていうから、人間ももっと気をつけないといけないよね」
「山にマングース放したりしたらアカンよね」
「あれは、本当に当時の人はもうちょっと考えろよって思うよな。奄美の動物ってハブ以外に天敵がいなかったから、ハブ対策しかしていない進化の仕方をしてきたって聞いたことあるよ。そこにマングースやら猫やらが現れたもんだから、元からいた生物はなすがままなんだって」
「大変やね。まったりした職場にいきなり外資が入って上司が外国人になったくらい大変やね」
「何それ! と、おもったけど、案外そんな感じかも。もうわけわかんなくてパニックって感じだね」
「それにしても、アマミノクロウサギって貴重な割にすごいマニアックな位置づけでしょ?」
「まあな。世界自然遺産に登録されることで変わるとは思うけど、実際のところ奄美自体がメジャーじゃないから、仕方ないんじゃない?」
「でも、ヤンバルクイナとか、イリオモテヤマネコって有名やん? これってね、名前がちょっと悪いと思うねんよ」
「名前? アマミって入ってるから、奄美の生き物ってよくわかると思うんだけど」
「いやいや、リコちゃん。ちょっとリコちゃんのスマホでアマミノクロウサギって入力して変換してみ?」
「ん、スマホで? あ・ま・み・の・く・ろ・う・さ・ぎ…………奄美の苦労詐欺……」
「思った通りリコちゃんのスマホってアホやったわ~」
――この番組は『シマ唄の未来を考える奄民』、奄美民謡研究部の提供でお送りしました――
祝! 奄美大島 世界自然遺産登録 ~ミドリとリコのシマ唄 “きばらんばぁ!”〜 麓清 @6shin
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