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『サムライ・ブル』完結御礼 & あとがきのようなもの

うがみんしょーら、麓です。
約一年ぶりの近況ノートです。

カクヨムコン参加作品『サムライ・ブル』が無事完結いたしました。
これも偏にお読みいただいた皆様の応援の賜物と深く感謝するところです。

思えば、半年前のウォーカーコンでは、なんとか完結にこぎつけたものの、思うように作品を完成させられず、とても苦しい思いをしました。
良いものを書かなきゃという気負いがあったのかもしれません。
あとは、民謡の全国予選で負けたのもメンタルに来てましたから、なかなか集中して執筆できませんでした。

それを思えば、今回はまだ比較的楽しく書けたと思います。
理由は単純で、誰かに読んでもらうための宣伝をほとんどしなかったから。

ではなぜ、コンテストなのに宣伝をしなかったのか?

もちろん、面白い作品を書けば宣伝せずとも読者がつくなんて思っちゃいません。あんなもんは妄言かそうでなければ都市伝説です。

気負わず書きたいとか、時間がないとか、人と関わるのしんどいとか、クラスタ騒ぎがうぜえとかいろいろあるっちゃありますが、ちょっとした実験をしてみたかったというのもあります。

今回の作品のキャッチコピーは「※これはラノベではなく一般文芸作品です」だったんですよ。
つまり、単純にカクヨムにラノベではない作品を求めている人がいるのか、それをターゲットにしうるのかを調べたかった。

しかしながら、この試みは成功とはいいがたく、むしろやり方としては失敗だったと思います。

すなわち、キャッチコピーで目を引き、あらすじで心を掴めというアレのほうがまだ効果があったということ。

でも、それがわかってよかった。

要するに、僕が書きたいものはカクヨムで読みたいものじゃないと。
カクヨムで求められるのはやはりラノベだと。

つうわけで、今後の作品の方向性についてはまた考えたいと思います。


さて、あとがきとしたからには、今回のサムライ・ブルについても書いておかなきゃいけないですね。

この作品の着想自体はいつもお世話になっている徳之島出身の飲み屋のマスターに、子供の頃の闘牛の思い出を聞いたところからです。

その話がとても強烈に印象に残っていて、最初の一話目はその日のうちにあっという間に書きあがりました。

その話は今作のプロローグと少し違っていました。
主人公の少年が牛を連れて散歩していると、大人たちが彼に「牛の稽古をしていけよ」と誘うんですが、実はそれは主人公の牛を稽古台にしてやろうとする悪だくみで、それに主人公はまんまとハマってしまうというものでした。


しかし読んでみたらまあつまらない。
人の思い出話を聞いているから、画が浮かぶけど、闘牛すら知らない人がほとんどのカクヨムで、ただでさえニッチな作品書くのに、こんなもん書いたら事故だぞと。こりゃいかんと手直ししてできたのが、今作のプロローグというわけです。

当初、この作品のメインテーマは「大人vs子供」という形で、まだ子供の殻から抜け出し切らない、青春のもどかしさと、大人の小狡さみたいなのを対立軸にしようと考えたのですが、そこは軌道修正して、もっと小さな「子供同士のいがみ合い」を、さも大きなことのように書こうと決めました。

そうして生まれたのが虎徹という困ったちゃんです。
彼には不穏分子として、ストーリーをかき乱してもらおうと思ったのです。
今回、虎徹のような悪役を立てたことに、フォロワーさんが「珍しいですね」とコメントくださって、そうなのかなぁと思い返してみたると、たしかに、こういうムカつくようなキャラってあまり書かなかったかもしれません。

思いがけない発見でした。
今後はこんなヤツをもっと深く描いても良いかもと勉強になりました。


この作品のキモというか、いいたいことっていうか。
端的に言葉にするなら、龍田町長が挨拶で述べた「子どもは島の宝」っていうところかなと。
これまでも奄美やそれをモデルにした作品ばかり書いてきた麓ですが、今回は特に「子どもとはなんなのか」という事を意識して書いたつもりです。
島を離れたい多感な子ども。
能天気なふりして島に残る覚悟を早々にきめた子ども。
自分の意図とは関係なく島にやってきた子ども。
みんな同じ子どもだけど、それぞれ島や文化に対するスタンスが違う。

もちろん、虎徹みたいな困ったちゃんもいる。
でも、それをひとくくりに、島の宝だとして、物語を紡いでいくことで、闘牛というハードな題材を優しい物語にできたんじゃないかなと思っています。

ちなみに、どのキャラにも自分の殻を破る瞬間があって、それぞれ好きなシーンばかりなのですが、中でも「みんなの背中ばかり追いかけていた」と自認する翔真が、力太郎の前に立ちはだかるシーンがあるんです。
それを力太郎の視点で描写してるんですけど、翔真の法被の背中に書かれた文字を力太郎が見るという一瞬が、作品の中でたまらなく好きです。

あと桃華かわいい。

それと、昨年のカクヨムコンの「ダイシャライダー」では、「藤尾嘉博、」さんというイメージキャラがおりましたが、今回もおひとり、ゲスト出演いただいております。
こういうふざけ方が好きな麓です。

またしばらくは充電したいと思います。カクヨムで書くか、よそで書くか、はたまた名前を変えて全然違うイメージの作品をやるか。
これからゆっくり考えようと思います。

ともあれ、こんなあとがきにまでお越しいただきありがとうございました。
また、次の作品でお会いしましょう。

ありがっさまりょーた!

麓清

4件のコメント

  • 麓清 様

     お久しぶりです、夷也荊です。
     この度は拙作『獏の見る夢』をフォローして頂き、誠に有難うございます。
     麓清様の御作でお勧めがありましたら、教えていただければ幸いです。
     麓清様は凄いです。本当に奄美が好きだということが伝わってきます。
     小生はアイヌが好きですが、好きゆえに、アイヌを題材にして作品は作れずにおりますので、憧れてしまいます。もしもここで麓清様とお会いしなければ、小生は奄美大島のことを何も知らずにいたでしょう。色々と勉強になります。
     これからも麓清様のご活躍を願っております。

     それでは、お礼まで。
  • 夷也荊 さま

    こんにちは。
    お久しぶりです。
    今年もコンテストが始まりましたね。
    私は最近多忙ですっかり乗り遅れてしまいました…

    作品は拝読し始めたばかりですが、ここ最近ライトな文体に傾倒しがちなウェブ小説界に、真っ向から切り込むがごとく、重厚でミステリアスな文体は健在ですね。
    じっくり読み進めていきたいと思います。


    好きが故に書けないという気持ち、よくわかります。
    実際、私も奄美について何を知っているかと聞かれたら、多くのことは知らないままです。
    方言さえ未だに満足に扱えません。
    書きながら、これでいいのだろうかと自問自答し資料を漁って1日が終わることさえありますから笑

    ですが、作品に表現するのに全てが真実である必要はないと思うのです。
    たとえ奄美の表面上のことしか表現できていなくても、作品に触れた読者に、奄美という島を知るきっかけがあれば、それで十分に役目を果たしていると思います。

    まだ書き散らかした作品がいくつもあるので、少しずつまとめていけたらと思います。
    今後ともよろしくお願いします。
  • 麓清 様

     おはようございます、夷也荊です。
     この度は拙作『獏の見る夢』にレヴューを賜り、誠に有難うございます。
     確かに小生の文は、ラノベとはちょっと違うかもしれません。
     麓清様にそう言って頂けて、嬉しいです。
     ぶれないようにするのが、結構大変だったりするので。

     好きだから書けない。好きだから書ける。
     何だか麓清様と話していると、どちらの気持ちも大事だと思われてきます。
     でも、麓清様が方言や資料に埋もれているとは、
     全然思ってもみなかったのです。
     何故なら、麓清様の御作はどれも、奄美の文化や風習が生き生きと
     表現されていたからです。「はげー」です(笑)。

     こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
  • 夷也荊さま

    WEB小説において、ラノベ以外のジャンルはどうしてもマイナー扱いですが、だからこそ夷也荊さんのような作品との出会いはとても貴重ですし、ワクワクするのです。

    ブレずにいることは簡単そうで、実は難しいことです。
    作品の続きも楽しみにしていますね。
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