生活魔法の活躍と女性の出会い

――ガチャッ


 俺はそんな音を立てて、洞穴の扉を開く。

 ところで、何回も思うんだが、端っこに机を置いて、ド真ん中に火を置いているのはダサいな。

 女の子の姿はそんなに見ていなかったから、とても気になる。


 んで、目の前には……


「あれ!?!」

「驚きました……?」


 確か、俺の半分くらいしかなかったはずだ。ちなみに俺は175.6cm。


 それが、俺と同じくらいの身長の女の子……じゃなく、同年代な女性が俺の前に立っていた。


「大きくなっているだと……? 胸も身長も」

「どこ見てるんですか」


 ちょっと恥ずかしそうに怒ってるところもまた可愛いし。


「すみません……所で、名前は? オレはアルファです」


 何回も面接に落ちた甲斐があった。会話センスは有り余っている。


「名前は……カモメとだけ」

「カモメさんでいいかな?」

「カモリーってよく言われてます」


 なんていう名前だ……! オレはちょっと驚きながらも笑顔を落とさなかった。


「カモリー、これからどうするんですか? おっと、そこに座ってくださいな」


 オレは座りたかったので座るとカモリーもゆっくり座った。


「村に……」

「村に連れて行ってください、お願いします」


 カモリーが言い終える前にオレは口を出した。


「え!?」

「村に行きたいんです、お願いします」


 オレは木の床におでこをくっつけて催促する。


「はぁ……何故ですか?」

「護衛と事情がありまして」


 単純に迷子だなんて言えるわけない。


「良いでしょう、行きますか」


 土下座に何もツッコミもない辺り、酷いよ。


「ちょっと待って下さい」


 オレは声を上げると即座に木の剣を作成する事にした。もちろん、机に立って。


「木の棒を2本合わせて……」


 この時のオレは、クラフトの神にでも成っていた。


 何故なら、この棒を合わせるにはゴムや紐がいる。

 しかし、生活魔法によりそれを門外不出にすることにできる。意味はわからないだろうけど、召喚的な。


「生活魔法! 『装着』」


 装着とは、単純に言えば、物と物を魔力によって何も使わずともくっつける事が可能。


「よし、棒が2本だから、耐久はあるな」


 四角い木材を出して、オレは唱えた。


「生活魔法! 『着火』」


 唱えた瞬間、四角い木材は炭になった。


 この魔法は名前の通り、火を呼び起こす。魔力で。

体がライターみたいなものだ。

ちなみに、カモリーはまん丸とした目で驚きが隠せないようだ。


「もう1本の木の棒を……」


 オレはついつい言葉に出しながらなにかする癖がある。気にするな。


「生活魔法! 『変形』」


 そう唱えながら、オレは1本の棒をさっき作った2本の棒に押し当てる。感覚で言うと、剣を持つ柄を作る為に。


 押し当てながら力を込めると、1本の棒はぐにゃぐにゃと曲がり、2本の棒がくっついた、刀身に巻きついた。


「もう少しだ」


 完成は間近。なんせ、もう持つ部分は完成しているからな。


「生活魔法! 『合成』」


 装着させた刀身を握りながら唱えると、21になった。


 後は、丁寧に刀身に炭を塗ればかっこいい錆びた剣のみたいな感じになったが気にしない。


 ここから、鞘を作るんだが、割愛させてもらう。魔法は上記の物を使ったからな。



 これを学んだのはかなり前なんだが……いつか話そう。

 作業時間は鞘も合わせて5分もないはずだ。


「凄い……!!」

「それほどでも」


 まぁ、からな。


 腰に鞘を置き、剣を鞘に差し込み、


「護衛します!」


 オレは大声でそう言い放った。






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