あとがき 全5話です、ネタバレ注意!
みなさん死体と聞いたらどんな印象を受けるでしょうか。
どことなく怖く、悲鳴を上げるような、おぞましい印象を受けるのではないでしょうか。
ただ、その死体をミイラになっても運び続ける動物がいるのはご存知でしょうか。
アフリカのとあるチンパンジーは死後14日経ったミイラとなった自分の子どもをおぶり続けていたのを確認されているそうです。
この行動をみると、とある疑問が沸き上がります。
あれだけ愛していた、目の中に入れても痛くないような自分の子どもなのに、むしろ死んでしまったらもう死体なのでしょうか。
死体になろうが、自分の子は自分の子。大事に背負って過ごす事は何らおかしいことではないはずです。
しかし、何故私たちは「死体」となった瞬間、態度が変わってしまうのでしょうか。
それはおそらくその「死体」に関連するもの、「死に対する恐怖」や、それを引き起こす何らかの状況というものに対する恐怖がそれを上回るからなにかもしれません。死後死体は硬直し、やがて腐乱臭を放つようになります。そうすると、健康にも良くない影響を及ぼしかねない、そんな事を私たちは先祖から経験的に「死体」から距離をおくように植え付けられているのかもしれません。
一方話は変わって、もしこの「死体」が「幽霊」だったら……。
そんな発想でこの小説は生まれました。
元ネタは最近流行の「ありが●う ぁみ」さんのテレビでやっていたホラーの話です。この話を聞いた時に、小さな子どもが「ツカマエタ!」と足に飛びついてきた、と聞いた時に、ホラーの話にも関わらず、自分は不意に自分の息子を思い出してしまったんです。もちろん自分の息子は元気にしていますが、その飛びつく姿に少し愛情すら湧いてしまったんです。
普通の子だったら、何ら不思議の無い、むしろ少し微笑ましくさえあるこの行為。一時「幽霊」になってしまった瞬間、一気にホラーストーリーに豹変してしまうことに違和感を覚えました。
そして、もしこの「幽霊」が亡くなった自分の子どもだったら、などと考えてみたら、もうそれはホラーではなく、感動の再会に変わってしまっていたのです。
「幽霊」でもいい、もし一目でも会えるなら、会えなくても少しでもその子どもの事を感じられる物がそこにあるなら、どうしても出会いたい、そう思うのではないでしょうか。
そんな気持ちで書いてみました。楽しんで頂ければ幸いです。
ツカマエタ…… 木沢 真流 @k1sh
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