Piece3 1年4組
始業式を終えた竜と翔はクラスの席に座っていた。
「ふぁ、やっと終わったな。」
あくびをしながらだるそうに竜は言葉を発した。
「元中の人は10人いるかいないかくらいだったね、竜ちゃん。」
翔は意外そうな声で竜に話しかけた。
「だな。ま、家からも遠いし偏差値もそこそこ高いしな。」
‐ガラガラ‐
ドアの開閉音が緊張のせいか静寂な教室に鳴り響いた。
「はい、皆さん始業式お疲れ様です。早速ですが皆さんに自己紹介してもらいたいと思います。名前、出身中学に希望部活、あと趣味や目標、をお願いします。」
「ながっ」
「長いな」
楽田先生の言い出す項目に竜と悟志は声を重ねて言った。
「ははは。では出席番号順に行きましょうか。哀川君お願いします。」
楽田先生は苦笑いしながらお願いした。
「南山中学出身哀川卓也です。バレー部に入るつもりです。趣味はこれといってありませんが、筋トレを毎日やっています。目標はインターハイ出場です!1年間よろしくお願いします。」
「でかっ」
「でかいな」
ここでも竜と悟志はシンクロした。
‐パチパチパチパチ‐
拍手が鳴り響いた。
「哀川君ありがとうございました。次は新垣君ですね、お願いします。」
翔は「はい」と呟き、教壇に立った。
「えぇと、第二中の新垣翔です。部活は入るつもりはありませんが学校祭実行委員に入ろうと思思っています。趣味は、中学までやってた野球です。目標は楽しいクラスにしたいです。1年間よろしくお願いします。」
‐パチパチパチパチ‐
「新垣君ありがとうございます。次は…」
こんな具合に自己紹介がすすみ、あっという間に竜に出番が回ってきた。
「斎藤君ありがとうございました。次は榊原君よろしくお願いします。」
「うっす。」と返事して立ち上がった。
「第二中の榊原竜です。右投げ右打ちのキャッチャー、野球部希望です。目標は20年ぶりの甲子園出場です!野球漬けの毎日ですがクラスも大事なので皆さんよろしくお願いしまっす!」
‐パチパチパチパチ‐
竜の自己紹介も終わり、男子も終盤へと迎えていた。
「風雅君ありがとうございました。次は、えっと」
「わいの出番やな。」
悟志が呼ばれる前に返事し立ち上がった。
「中央中出身松本悟志や。中2まで大阪に追ったんやけど家の諸事情によりこっちに越してきてん。部活は野球部でポジションはセンター。趣味ゆう趣味は大阪で少しバンドでドラムやってました。みんなで最高の1年にしよな。よろしゅう。」
悟志が中盤の静寂を笑いに変えた。
順番も女子へと向かっていった。
「三井さんありがとうございました。次は源さんお願いします。」
「はい。」
「東京の赤羽中学校から来ました源夢叶です。生まれは北海道ですが、小さいころから父の転勤により様々な場所に行きました。私も学校祭実行委員に入ろうと思っています。楽しいクラスになれればと思いますので皆さんよろしくお願いします。」
「うん?」
「あれ?」
このとき竜と翔は何故か初対面の感じはせず、むしろ懐かしいような気がしていた。
そんなことを疑問に思っていると自己紹介を全員終えていた。
「皆さんお疲れ様でした。最後に改めて私の挨拶をさせていただきます。私の名前は楽田学と言います。今年で教員歴3年目の25歳で初めての担任です。担当教科は、国語です。一応中学、高校とバスケをしていました。ですが顧問は生徒会と学校祭実行委員を受け持っています。僕の名字に『楽』という字が入ってます。楽しい1年間にしましょう。また、僕は名前を大事にしたいので皆さんのことを名前で呼ぶことが多いので慣れていってください。それでは時間も時間なので、今日はここまでです。皆さん高校生活初日お疲れ様でした。明日からよろしくお願いします。それでは、今日の挨拶は…悟志君お願いできますか?」
悟志は驚きながらも笑顔で了解した。
「ほな、起立。」
‐ガタっ‐
「気を付け、さようなら。」
「「さようなら」」
「皆さんさようなら。」
楽田は笑顔でみんなに挨拶した。
「竜ちゃん帰ろっか。」
今年も翔と毎日帰りそうだな。
竜はそんなこと思いながら「あぁ」と返事した。
誰にも見えない糸 @firiplocks
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