第4話空白の剣士の役割
「はぁ、はぁ、はぁ・・・それにしても、よほどカオステラーってのは、あたしらを宝のもとへ行かせたくないみたいね。」
「う、うん。なんだか、本当に妨害に来ているね。」
先ほどから襲撃に襲撃を重ねるヴィラン達を倒しつつ先へ先へと進んでいる一行ではあるものの、その消耗は決して楽観視できるものではないところまで来ていた。
「休みたくても休めないし、これじゃ目的を達成できるかどうか・・・」
「あ、あれ。」
「これはこれは。あの先じゃないですか?お宝があるのって。」
どうやらここまで頑張っているうちに宝のありかまで来ていたようだ。
「シルバーは本当にここにいるのかな?」
「まぁ、あくまでもそういう可能性があるっていうだけの話だから。何はともあれ入ろうか。」
訝しむジムを諭しつつ、洞窟内部へと先行して進入するサム。
かくして洞窟の中には、ジムやシルバーの「運命の書」の記述通りの位置に、記述通りの量、内容の「お宝」があった。
「これが、お宝・・・」
ほう、とため息を漏らすサムに、お宝の実物を目の前に年相応にはしゃいでいるジム。そして、あることに気づく「調律の巫女」御一行。
「ねぇ、確かこの洞窟内にシルバーがいるって話だけど、どこにいるのかしら?」
「そういや妙だな、確かに先に行くって言っていた筈なんだがな。」
そうレイナとタオが疑問を漏らすのと同時にシルバーが現れる。
「よぅ、待たせたな。」
「・・・シルバー」
「止めなさい、ここで争うのは。やりあうなら外でやって。」
自身にとっては裏切り者同然であるシルバーの登場に静かに怒りを示すジムを、自身の殺気と共に説き伏せるサム。
「・・・分かってる。「ここでは」やりあわないよ。」
「素直でよろしい。で、ジョン、あんた、今の今までどこをほっつき歩いていたの?」
「・・・そうだなぁ、それは、こいつらを全員倒してから答えるか、な!!」
そう叫ぶと同時にヴィラン達をけしかけるジョン。
そのヴィラン達はといえば、抵抗するジムをシルバーのもとへと拉致する。
「ちょっと、一体何考えて!?」
「サム、質問はあとよ。」
「タオ・ファミリー、喧嘩祭りの開幕だぜぇ!!」
そう、タオが開幕の合図を告げると同時に、「調律の巫女御一行」は、導きの栞を使用し、ヒーローの魂とコネクトする。
「・・・」
無言で鞘から剣を抜くサム。
シルバーの真意を測りかねているのだろうか、何を思おうが、戦いの幕は開けた。
「くそったれが!!」
力まかせに剣を振るうサムから離れる様に戦線を展開する一行。
だが、相手にしている敵の数は明らかにサムの方が多かった。
シェインとエクスがいくら誘導しても、何時の間にかサムのもとへと舞い戻ってしまうのだ。
「このわしを本気にさせたな?」
「あの空に行くまで、僕はあきらめない!!」
レイナとコネクトしているシェリーが敵の防御力を下げ、エクスとコネクトしているジャックが敵の軍勢を切り裂く。
そうこうして、やや苦戦しながらも、戦いは幕を閉じた。
「さぁジョン・シルバー、あんたの「本音」を聞かせてもらおうか。」
「俺様の、本音、だと?」
敵を蹴散らした姿そのままに、シルバーへと問いかけるサムと、そのサムの問いに眉を動かすシルバー。
「えぇ、そうね。例えば「本当は暴走しつつある自分を止めてほしいところだけど、そう言っても信用してもらいないだろうからこういう手段を用いらせてもらった」とか、か?」
「!!」
サムの、「恐らくシルバーはこう思っているだろう」という推察が大当たりだったのか身体を硬直させるシルバー。
「あぁ、確かにヴィラン達もどこか動きがぎこちなかったですもんね。」
「本当はこんなことしたくなかったってか。」
「・・・あぁ、そうさ。頼む、どんな手段を用いても構わない。「俺」を、止め、て、くれ―。」
そう言いきるのと同時に、ジムの方に置いた自分の手がずり落ちるように、シルバーの体が、崩れる様に倒れた―。
運命《さだめ》を切り裂く紺碧の雷刀 @reijikuru
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