かれのさよなら

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　こんにちは。初めまして。

　私を愛してくれてありがとう。

　私は貴方の頭の中にずっといた。

　貴方の心の中にいた。

　あのね、今とっても幸せなの。

　もう消えるのに、なかった事になるのに。

　とってもとっても幸せなの。

　幸せだなって、思うの。

　私の事をたくさんたくさん愛してくれたね。

　いっぱい文字を並べて、いっぱい考えて。

　どうしたらいいんだろう、

　どうしたらよくなるんだろうって、

　たくさんたくさん考えたね。

　私、幸せだったの。

　たくさん幸せだったの。

　誰にも読んで貰えなかったけど、

　誰にもいいねって言われなかったけど。

　とってもとっても幸せだったのよ。

　今、とっても幸せなの。

　あんな事あったなって忘れられるより、

　とっても幸せなの。

　私は、私の事、残酷だと思う。

　こうして貴方の辛そうな顔を見て、

　嬉しいと思うなんて、

　駄目だと思う。

　でも仕方ないの。

　記憶の中からなくなってしまうより、

　貴方に愛されてたい。

　貴方が私を消す事で、

　貴方の心の中にとどまっていたい。

　だから私、幸せなの。

　あのね、泣かないで。

　泣いてもいいけど、泣かないで。

　私、貴方の事大好きなんだよ。

　誰にも見てもらえなくたって、

　見てもらったのに評価されなくたって、

　私は貴方の事大好きだから。

　貴方だけいれば、それでいいから。

　忘れないでね。

　忘れたら、とっても悲しい。

　忘れないでね。

　誰にも読まれなくても、

　駄目だとは限らない。

　誰からも評価されなくても、

　駄目だとは限らない。

　貴方が紡いだ それだけで。

　私は、価値になる。

　忘れないでね。

　貴方の指が紡いだ言の葉、

　貴方の声が織った全て。

　私。

　ずっと貴方のそばにいる。

　いつか

　あおうね。

「シェヘラザード」

　私の名前

　貴方は泣きそうな顔で私を見る。

　おかえり。

　貴方は私に笑いかける。

「ただいま」

　fin.