市場

レイナとサコン、そしてジャンはシンデレラ想区の都をめざして旅立った。

幸いにしてジャンと出会った場所以外は治安が良く安心して旅をすることが出来た。そして三人は都につく。宮殿は奥にあり三人は門の外にいた。

「すまんが、トア王子はいらっしゃられるか?」サコンは門番にきいた。

「これは武名の誉れ高い「サコン閣下」でいらっしゃりますな」サコンの名はしれわたっている。

「本日はトア王子に「贈り物」を持ってきたのだが。。。。」贈り物とはレイナの事だ。

「あいにく王子は外出をしておりまして。。。。」門番が口を濁した。

「わかった。では出直すとしよう」

「ハッ」と門番は頭を下げた。


「すげえな、おっさん。見直したぜ」とジャンはいう。

「しかし今は、流浪の身。なんと情けないことか。。」と涙ぐむ。

「とりあえず、市場でもいってみましょう。おいしいものがあるかもしれないわ」

レイナはマイペースだ。

都の市場は活気がある。様々な想区の物産が届いている。見たことのないものが多い。しかもここでは税を取らないようだ。ゆえに人々があつまる。

「姫、宝物を金に換えてきます。しばらくはジャンと市場にいてくだされ」

「わかったわ」サコンはオランド国の宝物を持ち旅に出た。

「持つべきものは金」である。しかしそれがために襲われることもあった。

ジャンとレイナは市場を見て回った。

レイナの好奇心は旺盛だった。いろいろなものをみているうちにジャンと離れてしまった。


そんな時レイナの腕をつかむ者がいた。

「きゃ」とレイナは反応したがレイナの体は腕につかまれたまま宙に浮かんだ。

「いいおんなだな」腕の主はそう言った。

「売れば金になるだろう」とその仲間は言う。

彼等はシンデレラ想区の人間ではない。どこか知らぬ場所から流れてきたものなのだろう。異形の体をしている。

身長は3メートルを超えており、口からは牙が出ている。

レイナは体を右に左に動かしたがびくともしなかった。

市場に緊張が走った。

その時であった。レイナを握っていた腕が鋭い刀で切られレイナは地上に落ち尻もちをついた。

やがてそこから血が噴き出す。

「だ、だれだ?」異形の者はいった。

「俺の縄張りで勝手な事されちゃあ困るんだよ」見ると青年が刀を手に持っている。そして手下と思われる者も20人はいるだろう。

「お前は馬鹿王子じゃねえか」

「馬鹿はいらねえんだよ」そう言うと再び刀を振るった。

刀は急所を切り付け異形の者は倒れる。

「ひぃ」ともう一人が逃げ出そうとしたとき「シュ」と刀を振る音がした。

音の主はジャンだった。もう一人の者も倒れた。


「ジャン」レイナは声をあげる。

「だから、気を付けろって言ったろ?市場ってのは善人もいれば悪人もいる。宮殿とはちがうんだぜ」

二人が倒されると市場は歓声に包まれた。

「おい。ジャン?ジャンか?」腕を切った青年が声をあげた。

「あ。あれ?トア?、トアじゃねえか?」

「あはははは」と二人は笑った。


「と。トア様?」レイナはびっくりしている。

子供の時みた面影は多少残っているがそれ以上にハンサムな青年に成長していた。

「トアさま~」とレイナはトアの胸に飛び込んだが、トアはびっくりしている。


そのうちにサコンが声を聞きつけて駆け付けると、トアに気が付いた。

「サコン、この子は。。。」レイナはまだトアの胸にしがみついている。

「レイナ姫でございます」

「レイナ?」そういうとレイナの指輪を見つめた。

「やはり。守ってくれたのだな。。」トアは寂しそうに言った。


「とりあえず、宮殿に戻ろう」

そういってトアは馬に乗った、そしてレイナの手を取り自分の前に乗せた。

そして20人を超える配下に守られてゆっくりと宮殿を目指した。

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亡国の姫君 若狭屋 真夏(九代目) @wakasaya

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