賢治へのオマージュが際立つ

宮沢賢治は、夏目漱石からオリジナリティがないというただ一点だけで「きみは向いていない」と酷評され、作家になれなかったという。もちろん、原書を読むようなカネもチャンスもそうあることでない明治期に、これが真っ当な評価かどうかさえわからないけれど、当時の感覚からすると、今でいう二次創作の先駆けだともいえる。

評論家ではない作家は作品でしか語れないらしい。例えるなら、水まわりをリホームするのか、想い出を残しながらリノベーションをするかも、これを読んでみるとオマージュの意味が際立つような気がする。

今まで、同じシーンを作者が違えばどう変わるのか、校正やら二次創作する動機(モチベーション)が上手くわからないでいたけれど、綺麗にするのが好きってことなら共感できるなあ、みたいなことです。

宇宙やら重力やら物理やら、制約だらけのなかで人とは違うことが書ける文才が、SFってことなのかもしれない。

(注意:ググってみると賢治と漱石の生没が合わないようだから、どこか誰かと勘違いしている。そこはお詫びして訂正)

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