ヴォヤージュ・セイヴァー【朝東風シリーズ三作目】

登月才媛(ノボリツキ サキ)

第1話 ”大穴”

は突然大きく口を開けた。

先ほどまで一つの街があった所に、光を飲み込んだ崖がある。

ふちは崩壊を続けており、建物だった木片を巻き上げて陽を遮ろうとする。

「信じたくないよ……!」

一人の少女がその光景を目にして泣いていた。

「ここは危ない、逃げよう」

女騎士が手を取って去っていった。


誰が知っていただろう。世界が消え去ることを。


……いや、一人いたな。

大きな本を持った異形の少女が。

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