第2話 風のかまいたち 炎の山猫
ここは人間と妖怪が共存する江戸のどこかの寺に天狐 孤凛が住んでいるが、彼は人々から変わり者みたいな目で見られることが多い。
なぜなら孤凛は、はぐれた子供や捨てられた赤ん坊を自分の息子、つまり妖怪に転生した息子として扱い育てることをしていることから町の人から変な目で見られるようになり、寺の中にも孤凛を支えるたくさんの女狐からも一目置かれている。
孤凛が自分の寺に戻り女狐に挨拶をする
「孤凛様。おかえりなさいませ、あの・・その子達は一体?」
「ああ。拾ってきたんだ。かわいそうに捨てられて居場所を失って飢え死にしそうな所を助けた。」
「また自分の息子にして育てても結局みんな悪い妖怪になって人間に迷惑かけているのはどこの誰ですか?今度連れてきたら許さないとあれだけ忠告したのにどうして懲りずにまた・・・」
孤凛は布に包まれた子供をその女狐に見せた。今回拾ってきたのは3歳の子供と生まれて間もない赤ん坊の2人だった。
「こいつらたぶん兄弟だと思う。俺にも弟がいたが、馬鹿やらかしたせいで人間に滅されてしまってさ俺も間に入って止めようとしたけど止められなかった。俺はあいつのこと理解できないまま育ってしまったっから、この子らにも兄弟が素晴らしい関係というものを教えてやりたい。
準備、できるか?」
「はぁ・・孤凛様がそこまで言うのなら仕方がないですね。わかりました!
私達も全身全霊を込めて立派にしてあげますよ。」
この兄弟を育てるにあたって女狐達からは賛否が分かれたが結局、育てることにした。ただし普通の妖怪ではなく妖怪の世界と人間の世界を楽しみながら学ぶ種族‘妖人‘というものを新しく作った。
2人を別々の兄弟妖人として転生するための儀式を行い、3歳の子供は風を纏い自在に活用するものをかまいたちの修羅と名付けた。
赤ん坊の方は炎のように勇ましく人を愛するもの山猫を多摩と名付けた。
2人は大人になるまでたくさんの女狐、つまりお母さん狐が育てると誓い、
あらゆる危険から守ることを皆と肩組んで決心した。
さらに、人間との関わりを感じてもらうためにお母さん狐たちは民宿をやりながら教育していくつもりである。
「無事に育ってくれよ。修羅、多摩。」
そういった孤凛は2人の寝顔を眺めていると一瞬だけ微笑んだように見えた。
妖魔大乱記 ワンダQ @horrwkhight
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