僕弟子

柳うい郎

第1話

「僕を師匠の弟子にしてください。」

その師匠と呼ばれた女性はおよそ、そのようには見られなかった。師匠と呼ばれるには若過ぎるし、服装も黒いTシャツにホットパンツでいたって普通だ。

「助けていただいた身でこんなことは失礼と承知しています。あなたは僕の生きる希望です。どうか…………。」

女性は少し驚いたようで少し間を開けてから喋った。

「確かに私は橋から落ちた坊主を助けた。でも、坊主を弟子にする義理はないよ。」

「どうか…………。どうか…………。」

少年の意志は揺るがない。

「たとえ、こんな姿になるとしても、同じことが言えるかい。」

不思議な構えを取ると女性を骨の鎧が覆っていった。その形相はまさに死神だ。

「それでもです。僕は弟子になれるならなんでもします。」

「よし、じゃあ分かった。今日はもう遅い。家に帰りな。明日もここにいるから。」

女性にそんな気はさらさらない。テキトーなことを言って巻くつもりだ。

鎧姿のまま、少年の撫でた。

「よろしくお願いします、師匠。」

そして、少年は足早に河原を去った。

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僕弟子 柳うい郎 @aladdin

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