ネット検索すると2000年代後半には、はっきりした出典こそ分からないまでも、気高い女騎士の台詞として確立していた、この「くっ、殺せ!」
しかして、本作品の女騎士は――――
本来なら取るに足らない、それでも生活のあちこちでこのセリフを濫発、バリエーションが豊富過ぎて感心してしまいます。
そんな彼女を主人ともダメな姉とも何とも言えない、微妙な間柄、関係性をもつ年下の従者トット。
他の女騎士に可愛がられている(ウラヤマシイ)彼が女騎士に(形の上で)付き従う理由とは。
例の台詞がどう繰り出されるか楽しみで、つい読み進めてしまう一作。
番外編を読んでから、また一話から読んでみると――――
ちょっとだけ、女騎士の評価が変わるかも(期待値
主人公のキャラクター性ありきの作品です。
逆に言えば、主人公アレインが一手にこの物語を引っ張るだけのポテンシャルを持ったキャラクターだということです。
この女騎士、従来の騎士の高貴なイメージとは真逆に位置するキャラクターで、そのシュールなギャップが本当にいい味を出しています。
キャラ萌え系の主人公では絶対にありえない嘔吐もさらっとやってのけ、しかしそれが本当に可愛いのです。
みっともなくて、ずぼらで、意地汚い。
けれど決していやみじゃない。
この作品が好きだという読者の中で、アレインが好きではないという人はいないでしょう。
確かに彼女は見栄の塊かもしれませんが、境遇が彼女を徹底的にマヌケにさせる。
けれどアレインはそれを認めず、世界一愛らしいドヤ顔で周りをシュールなドタバタに巻き込んでゆくのです。
たとえば本格的で濃厚な物語を読むことにふと疲れた時、この作品はそんな貴方の心の清涼剤となるでしょう。
個人的に、一番漫画化してほしい作品です。
今後も楽しみにしています。
「くっころ」とは、「くっ殺せ」の略語であり、それを取り扱う作品を示すこともある。気の強いというだけでなく、国などの重責を背負う者が発する感嘆詞のことである。これを発する場合は、強い意志に基づき自分を決するときに限られる。主に女騎士や姫騎士が発声源。 ―――――― 『女騎士辞典≪マニュアル≫』より
「くっころ」と対となる表現に「私は絶対に○○には屈しない!」というものがある。
強い意志に基づいて発する言葉であり、「くっころ」のほうはその意志が屈したときの言葉である………今作の主人公さんは、その「くっころ」を言いまくっているのに鋼より硬い意志を感じます。それでいて女騎士がふざけていないのが好感を持ってしまいました。従者や周りの人たちも大変そうで、見ていてニヤニヤしてしまいます。いやぁ、良いキャラしてます(笑)
これからどんな「くっころ」を見せてくれるのか、楽しみです。