魂までは癒せない

作者 左安倍虎

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★★★ Excellent!!!

 短いながら様々な要素が巧く取り入れられています。
 初めはSFかと思いましたが、それをあっという間に裏切って、現代ドラマに仕立て上げられています。
 そして後半に入れ替わる立場が、意外性を持っています。道夫秀介の『シャドウ』のような作風です。
 語り口も読みやすく、面白かったです。

Good!

手塚治虫先生のブラックジャックで、ブラックジャックが「◯を救うのは坊主の仕事だ」と呟いていたような気がします。確か、狼女のエピソードだったと思いますが、記憶が定かではありません。
外科に◯を救うのは無理でしょうが、精神科医ならどうでしょう?診療系か学術系で違うでしょうし、診療系でも投薬系とカウンセリング系では違うでしょう。でも、カウンセリング系なら少しは救うような気がします。
天皇陛下が被災地を訪れ、被災者に寄り添うことで、癒される被災者の方は多いと思います。
もし、この作品の登場人物がもっと寄り添ったならば、救われたかもしれませんね。
その場合は、タイトル変更を迫られますが・・・。

★★★ Excellent!!!

 現実にも結構有る話で、私なんかはよく聞かされるものですから尚一層やるせない気分になりました。
 朝から読めばその日一日は静かな溜息と共に送ること間違い無しです。
 とはいえここまで引き込まれるのは話運びの巧みさ、そして描写の精緻さが有ってこそ。
 少し暗い気分に浸りたい時、この作品は間違いなく貴方の力になってくれることでしょう。

★★★ Excellent!!!

もっと書けるはずなんだ。
空想と現実の差異とか、どっちがいいとか、どっちがダメとか。
その仕事に意味はあるのかとか、本当に正しいことなのだろうかとか。

この設定から、書けることはいくらでもある。
いくらでも考察を広げることはできる。

でもそれは書かれていない。
最低限しか書かれていない。

しかしそのおかげで、読み手がどこまでも考え、悩み、想像することができる。
どうしても考えさせられてしまう、短くも構成のしっかりした良い作品でした。