古代日本の時代では、邪馬台国から大和朝廷に移り変わる経緯が明らかにされていません。だからこそ想像力が掻き立てられます。作者の想像力に脱帽です。想像だけど、筋が通っているので、全く荒唐無稽ではありません。
また、二千年も前の物語なのに、”新しい時代の幕開け”に、確かに同意してしまう。その時代の奔流に巻き込まれ、必死に自分の運命を全うしようと努める登場人物達。彼等の活躍に思わずエールを贈ってしまいます。
作者へ)
神話の登場人物に与える役割を変えると、こうも違う物語になるのか!と大変興味深く拝読しました。西暦247年のイベントも効果的に使われていますね。
でも、私は九州説の信奉者です。
ラスト・シャーマンのタイトルにはセンスを感じました。閲覧者の関心を喚起させるだけでなく、物語の真髄を能く表現した名文句だと思いました。
WEB小説でも珍しい神話と歴史の曖昧模糊とした時代を描いた歴史ロマンの傑作
月読の視点の序盤はウォーミングアップだろう。
作者の筆致が俄然冴えてくるのはイヨともう一人の主役が登場してきてからである。
考古学と文献研究のクロスにより光が当てられつつある3世紀の倭。
そこに生きた者たちは神のごとき英雄ではない。
我々がそうであるように、その日を生き、喜怒哀楽に包まれた等身大の人間ばかり。
彼らの夢や野望が複雑にぶつかりあい、融和していく様は続きに飢える。
結果、この国がまじないと神話のくびきから抜け出して、人の時代に変わっていく大胆な物語を見ることになる。
この作品は謎多き時代を想いのいとで物語として語る小説。
歴史は勝者の都合で語られる。残された文献にも嘘が記述されている。そんな曖昧な文献から真実を知ることも探すことも不可能に違いない。それでも想いは過去を求め、魂は、霊は神の声を求める。
正しきを求め生きた者が王としてあったなら‥
ラスト・シャーマンは夢物語のようだ、史実として語られる限られた現実の欠片を集め、それを素材として理想と夢で希望を紡いだ夢の物語。
確かにラスト・シャーマンの世界で描かれるのは想像に過ぎないが、その想像の中で神話として語られる者達は息をし、涙し、愛を感じながらも嫉妬に苦しみ、悶え、悩み、神に答えを求め、神の声を失った時に気づく。
問いかけが見えない答えだと。
僕はこの作品を読むことを強く求めます。読んだ僕が作品を描かせた神の想いを強く感じたから。