この国の黎明を照らす物語
- ★★★ Excellent!!!
WEB小説でも珍しい神話と歴史の曖昧模糊とした時代を描いた歴史ロマンの傑作
月読の視点の序盤はウォーミングアップだろう。
作者の筆致が俄然冴えてくるのはイヨともう一人の主役が登場してきてからである。
考古学と文献研究のクロスにより光が当てられつつある3世紀の倭。
そこに生きた者たちは神のごとき英雄ではない。
我々がそうであるように、その日を生き、喜怒哀楽に包まれた等身大の人間ばかり。
彼らの夢や野望が複雑にぶつかりあい、融和していく様は続きに飢える。
結果、この国がまじないと神話のくびきから抜け出して、人の時代に変わっていく大胆な物語を見ることになる。