エピローグ
四聖によってもたらされた平和は、わずか二年で終わり、再び魔王軍が動き出した。
それから三年の年月が流れ、魔王軍はとうとうこの国にまで、その魔手を伸ばしてきているという情報が入った。
市長は恐れていた。
今まで魔王軍と戦ったことのないこの街では、すぐに占領されてしまう。
そう考えているのだろう。
「どうして隣の街は魔王軍と戦わずに屈したのだ!?」
「わかりません……ただ情報によりますと、この街を狙っているのは、魔王軍四天王の一人、不死のガストという噂があります」
青ざめていたかと思うと、今度は顔を赤くして怒鳴りだす。
「不死のガストと言えば、四天王の中で最弱という話を聞いている! 今すぐに見つけて抹殺せよ!」
「しかし、四天王の中で最弱と言われましても、あの四聖に勝ったという噂……下手に刺激しないほうがよろしいかと」
「ではやはりこの街は魔王軍の手に落ちてしまうのか……」
対策を練りましょうと言おうとした瞬間、会議室のドアがノックされた。
「入れ」
市長が入室の許可を出すと、この建物の表を見張っている兵士が敬礼して入ってくる。
「どうした?」
「はい、市長に会いたいという怪しい者を捕まえまして……って、おい! いつの間に入って来たんだ!?」
兵士の後ろから小さな女の子を連れた男が、会議室に乱入してきた。
黒い髪にボロボロの黒いローブ。
乞食か何かだろうか?
男は一礼すると口を開いた。
「俺の名前は――」
「えーい、お前はこっちに来ないか!」
「え、ちょ、待って! せめて名乗らせてぇぇぁぁぁぁ……」
変な男が兵士に連れていかれると、私達はほっとため息をもらした。
一体何だったんだ……。
視線を上げると、まだ女の子の方が残っている。
女の子は連れ去られた男の様子を見て笑っていた。
私は興味本位でさっきの男の名前を聞いてみた。
少女は愛らしい笑顔を見せる。
「……あの人の名前は――――」
四天王の中で最弱と言われましても まるいつづく @tuduku
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