第18話 LARPゲームをするなら強くなくちゃダメ?そんなことはない
ふと、ツイッターをぼーっと見ていると、こんなフレーズが目に入る。
「LARPしたいな…まずは体を強くしなくちゃ…」
「LARPゲームするなら武術系を極めてないとダメだよね」
はて───どうして、こんな話が出て来てしまったのだろう?
運動は水泳のみ得意で、陸の運動は神経ゼロ。
走ってりゃすっ転ぶし、普通に立っててもすっ転ぶ。
体力は底辺レベルで、歩いてると気付いたらいつも最後尾。
ころころ贅肉さんとお友達なご飯ダイスキー。
武術? なにそれ美味しいの?
つまり、割と運動音痴で身体バランス能力ゼロ、底辺体力、武術経験オールゼロ…な私が、LARPゲームをやっている。最後まで。割と休まずに。(毎月やってるレイムーンLARPは主催ということもあるけれど、4年以上皆勤賞だ!)
LARPゲームを出来てしまっている実例がここに居るのに、「武術経験を積まないと」「体力付けなくちゃ」な話が出て来ていることに、違和感を禁じ得ないのである。それはなぜなのだろう?
まず、LARPゲームというものはまだまだ幅広い解釈の余地があるため、ヘビーファイトなど、スポーツ寄りの試合をLARPゲームだと解釈してしまう場合である。LARPゲームだよーとしてネット上に出される画像は西洋甲冑のものもあり、ヘビーファイト中の写真と区別が付かない、というやつだ。気持ちはよくわかる。
ヘビーファイトは、どちらかというとスポーツに寄った形の試合に近いものであり、シナリオのあるゲームという形とはちょっと違う。本当に強くなりたくて鍛えたり、そこまでじゃなくても武術として楽しんでいる人たちなのだ。
ここからは私のLARP観として話すけれども、ゲーマーの遊ぶLARPゲームというものは、運動を普段やらないインドアな人たちがそのまま繰り出しても遊べる、というものであると思う。それは、体力をつけなくてはということとは、ちょっと別次元の話。
私だって、LARPゲーム中に「疲れたなー」と思うことはある。そういう時は、探索中にゆっくりとみんなの後ろの「ダンジョンの石壁に寄りかかって」座り、ゆったりと水を飲むのである。「モニカ、疲れたの?」と聞かれれば、「そうねー、あたし最近、家の中でゴーレム作りやってたからさー」と笑うのである。
どちらかというと、『体力があるすごい戦士なんだぜ!』『秘密捜査を多くこなすCIAなんだぜ』を、中の人が伴ってなくても演じて作り上げることができ、なおかつ中の人とのギャップをみんなで許せる・認めることができるのが、LARPゲームなのではないかな、と思うのだ。
もちろん、LARPゲームの傾向にもよるかもしれない。コンバットオンリーのLARPだと、技巧に寄って来てしまうのかもしれない。ただ、あまりに技巧によりすぎると、結局は防具でガチガチに守らないと厳しくなって来たりもするので、それもちょっと違うと思うわけだ。
CLOSSが出す演技戦闘は、技巧によって強くなるものではない。安全に戦うことに特化し、技巧が上手かろうか下手だろうが、等しく『均一にさせて』戦える特殊な戦い方になる。お互いの演技戦闘による安全な戦い方をマスターすることによって、極端に防具に頼らずとも戦えるものとなる。(とはいえ、目の保護のためのゴーグルは、私たちも使用を推奨してもいる)
話を戻すが、コンバットオンリーLARPも、団体によって色は様々だろう。ゆるLARPコンバット ヴァルホルは、体力がない人にもとっても優しい居心地だ。どれだけ疲れて休んでも、白い目で見る者は誰もいない。戦いたい者は戦いたいだけ動けば良いし、休みたい者は好きなだけ休めば良い。そんな土壌を作れていることこそが、結果的に安全を確保でき、安心できる環境を作ることに繋がっているのだろう。周りに合わせるため、体力が尽きて居るのに無理に動いてしまい、休まないことこそが、本当に危険な行為なのである。
「LARPゲームはもうちょっと気楽で、きっと相性はあるけれども、誰でも楽しめる系のゲームなんだよ」ということを、もっと様々な場所で話していきたい。そう思うのだ。
異世界《LARP》なら、もしかして俺は騎士にもなれるし大魔術だって撃てるかもしれない。 雛咲 望月 @hinasakiyu
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