超人格闘大会編 エピローグ

 図書室。俺のオアシス。俺のような平凡な人間は自分の身に起こらないようなことを本を読むことで体験できることが楽しくてしょうがない。

 今日も俺は図書室で小説を読んでいた。心地よい穏やかな時間。

 ああ、平凡こそ幸せなのだ。しかし……。


「やっぱり、こんなところにいた!」

 突如やってくる女。

 室内の生徒が顔を上げ、不満げな顔を彼女に送る。

「馬鹿、図書室では静かにしろよ!」

 思わず叫ぶと、今度は俺にも視線が刺さってきた。

「ちょっ、今行くから外で待ってろよ」

 俺はせっかくの憩いの時間を中断し、廊下に出た。

「なんだよ。せっかく人が静かに読書してたってのに」

「来たのよ!ついに!」

 興奮気味の真衣。

「何が?」

 俺が尋ねると、嬉しそうに真衣は言った。

「生理よ!」

 思わず慌てる俺。

「な、な、何大声で言ってんだよ!バカ! なんか誤解されるだろ!」

「だって、もう何十年も来てなかったのよ! これって本当に私の体内時間が進み始めたって証拠じゃない」

 いや、そうかもしれんが、女の子が大声で言うことじゃないだろう。

「ありがとう!道弘! 私、死ぬことばかり考えていた。これからはちゃんと歳をとっていけるんだね! あなたのおかげで私、これから生きていくことに希望が出来た!」

「でも、もう不老不死じゃないんだよ。人間なんて簡単に死んじゃうんだよ」

「いいじゃない! 死ぬから生きるのよ! 私、生きてなかったもん、死んでなかっただけで」

 本人がいいのなら、いいのかもしれない。

「でね、そのお礼に来たんだけど、もう一つ話があってね」

 真衣が嬉しそうに俺の手を握り駆け出す。

「な、なんだよ、突然!」

「いいから来て」

 廊下を走るな、と先生に怒られるが真衣は気にしない。俺を連れて屋上まで走っていく。

「ハァ、ハァ、屋上に何の用だよ」

 夏の日差しに目を細める。

 見覚えのある奴らが俺たちの前に現れた。

「げ、お前らは」

 魔法少女、美少女ロボ。抜刀娘、野球拳法家、女子高生力士に、チート勇者。あの格闘大会に出場した奴らだ。


「せっかくこれだけの超人がいるんだから、皆で一つのチーム作っちゃおうと思ったのよ!」

 胸を張る真衣。

「あんたも超人的凡人なんだから、参加しなさいよ」

「何を訳のわからんことを」

「互いの能力を補い合えば、不可能はないわ!」

「いやいやいや」

「とりあえず、まずは魔法少女の箇条明日菜ちゃんの探してる、聖獣ガレリオンを探すのよ!」

「何で俺がそんなことに協力しなきゃならないんだよ! 平凡に暮らさせてくれよ!」

「高木さん」

 その魔法少女が俺を見る。

「超人格闘大会で戦ったとき、言いましたよね。棄権してくれたらガレリオンの秘密を一緒に探してくれるって」

 確かに言ったが、あれは言葉のあやってもんで……

「探してくれないなら、今ここであのときの勝負をやり直しませんか?」

 にっこり笑う箇条明日菜。

「いや、それは……」

 ひきつった顔で俺はたじろぐ。

「ふふ、道弘あんたの負けよ。さ、じゃあみんなで協力してガレリオンの手がかりを探すわよ!」

「おーっ!」と拳をあげる超人たち。くそ、てめえら図りやがったな。

「道弘もちゃんと手をあげなさい! もう一回言うわよ。みんなで協力してガレリオンの手がかりを探すわよ!」

「おーっ!」と拳をあげる超人たち。

 ニヤニヤ笑いやがって、くそ!



「この、平凡クラッシャーどもが!」



第2部超人格闘大会編 

〜 完 〜









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この、平凡クラッシャーどもが! ボンゴレ☆ビガンゴ @bigango

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