頭上の海

 あるとき、ある場所に、頭の上に海がある国がありました。


 上の海はときに水の雨、ときに魚の雨を降らせて恵みを与えてくれましたが、どこに繋がっているかは誰も知りません。


 ある日、国一番の素潜り自慢が名乗りを上げました。

 みな、彼の勇気を称え、「上の海」に届く大きなはしごを協力して作りました。


 「上の海」へ到着した彼はさっそく上へ上へと潜っていきます。気分が高揚していたこともあってか、不思議と苦しくはありませんでした。

 そうしてどのくらいかが経ったとき、ついにゆらゆらとした海面が見えました。彼は一層頑張って水をかきました。


 ついに海面へ到達した彼は危うく落っこちそうになり、慌てて近くにあったはしごに掴まりました。

 そのまま彼は気をつけてはしごを降り、国に戻りました。

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【ショートショート】世界「あぁ、そんなことか」童話集 へろさん @helo

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