第4話 姫と雨の日

21日目も『ぽち』と呼ばれて始まった。


雨が降っている。

昨日から降り始め、その勢いが弱くなることなく降り続けている。


「雨、やまないねぇ」


姫が呟く。

今ので268回目だ。


「雨、止まないねぇ」


269回目。


「つまらないね、ぽち」


そう言って、俺の背中にもたれ掛かってくる。


「じゃあ、しりとりでもするか」

「しりとり?なにそれ?」


姫は、しりとりを知らないらしい。

簡単に、ルールを説明した。


「なるほど、面白そうだね」

「それでは、俺から始めるぞ」


あめ。

めであろきそぬ。

ぬいぐるみ。

みんじなえろう。

うさぎ。

ぎまたいもやか。


「ちょっと待て、姫が言っているモノは存在するものなのか?俺の知らない単語ばかりだぞ」

「知らない。だって、私モノの名前とか知らないしね」


話にならなかった。


「雨、やまないねぇ」


姫が、270回目を呟いた時、遥か彼方で雲の隙間から青空が広がっていた。

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姫と魔導兵器《ペット》と世界と遺跡 からうり @xinnsakuji

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