お客様の中に幽霊の方はいらっしゃいませんか!?

石岡

考え事が飛び火する男の話

「お客様の中に幽霊の方はいらっしゃいませんか!?」




.....



いるわけねーだろ!




いや、わかんないけどさ。おれは『幽霊はいると思う?』って聞かれたら『夢はあるな』って答えるタイプだからさ。その点はいるとして扱うけど。


どうしたっていないでしょ~。飛行機だぞ?ここ。


あれ、幽霊ってなんでも貫通するんだよな。ってことは乗り物系全般だめなのかな。





そのとうりです.....。あ。どうも、幽霊です。


はぁ。はぁ。えっとですね。私ちょっと背後霊やってまして。はぁ。


乗客のかたに、はぁ。憑いてるんですけど。いや!もう!


だって、こんな。早すぎですよ。本当。


あっ。つら。お返ししますね。.....はぁ。はぁ。





みたいなこといってんのかな.....。


いやー。あれだな。可哀想だな。


目的が観光とかならいいけどさ、霊としての職務(?)を全うするために頑張ってる。偉いね~。


つーか、何で機長は幽霊呼ぶんだ?





「結構くるんだな。医者」

「ええ、三回連続ですよ」


私は機長14年目のベテランだが、医者を飛行機内で呼んだことがないのが心残りだった。


ためしに呼んだら、来ちゃうんだもんな~。楽しいわこれ。


「でもさ。以外と他のを呼んでも来そうじゃない?」

「あー。そっすね。画家とか」


画家! 以外に人工少なそうだけどな~。


「アナウンスお願いします。画家呼んでください」

「まじでやっちゃうんですか。面白そうだからいいけど」


来るかな~。


「来ました!機長!」

「「来ちゃうんだ~!」」


以外と画家にあったことないわ。どんな感じだろうなってベレー帽!ベタだね~!


「これあったことない仕事でも会えそうだね」

「国会議員とか新聞記者とかですかね。あってみて~」


~~~~~~~~~~


「結局スマホ持ってない人まで来れたな」

「こうなったら後は~~幽霊!幽霊どうすか!?」


いいねぇー。来るかねー。


「アナウンスお願いします。ゆうれっwwwwwwwww」

「ちょっと!w笑わないでくださいよw」


「お客様の中に幽霊の方はいらっしゃいませんか!」


言ってるわ。ウケるなこれ。





みたいなノリだろうかな。


でもマイク音声って繋がってなかったっけ。灯台みたいなとこに。


どう聞こえるんだろ。





「あ!?幽霊呼びやがった!ついにだ!」

「まじかよ!最高だなジョニー!」


日本人はかたっくるしいと聞いていたがそんなことないようだ!


「いや、めっちゃ笑ってるしなw」

「マジやべぇw俺らもピザとか頼もうぜw マジで来るかもしんねぇw」





職務怠慢.....。


まぁね。どうでもいいよね。楽しいもんね。


幽霊側としては一ミリも楽しくないけどね。





あの。自分地縛霊やってんすよ。ここ、テロリストが襲撃したとこで、唯一の被害者なんスよ。


で、幽霊呼ばれてて。いきてーなぁー。って思うんすけどね?いけねーんすよ。マジウケる。





楽しくはないがウケはするんだね。うん。


今までやってたけど俺以外の人はどう思ってるんだろうね。





わし、いった方がいいんじゃろうか。


行くと逝くのだぶるみーみんぐなんじゃが。面白いじゃろ。


いやのぅ?医師免許を持った人が『医者しか呼ばれてないから』って言って断るのはおかしいじゃろ。


同じ理屈で幽霊になりかけのやつが『まだ幽霊じゃないから』っていうのはあれあじゃろ?


そろそろ逝くかのぉ。





おじいちゃーん!はやまるなー!


だめだよー。命大事にー。





そうよ.....私が死ねば幽霊に.....





だめっ!若い命ももちろんだめだっ!





この子も一緒に.....





もっとだめー!家族大事に!





あはっ。お腹蹴ってる。あの人の遺伝子が.....あの人はすぐ壊れたけど.....君は違いまちゅよね~。フフフ.....





旦那ー!何があった旦那ー!というか腹にガキいれたまま飛行機乗るなー!





あの人のお肉.....美味しかったな.....





旦那ぁぁー!なんでそいつを嫁にぃぃー!





わしの娘はかわいいのぉ。





てめぇの血筋か!命が軽いぞあんたの家系!





あのじじい.....三年前のテロリストのリーダーっすね~。パネェ。





三年前で今ここにいるって捕まってねーってことかよ!自首しろ!





「ジョニー。ピザもいいが.....テロ。早めに行動の連絡だ。コードネーム機長とコードネームじじいに連絡を」

「もう送ってあるぜ。さっ。お楽しみの時間だ」





てめぇらもグルか!詰んだな!





「いやー。面白いっすね。機長.....機長?」

「すまないね。これも命令だ」

「なにいって.....ガッハ.....」


この小銃もすっかり馴染んだな。テロリストに捕まるときに渡されたものだが.....


まぁ。きっと。これを捨てられる日が来るはずだ.....





機長ぉ!今だよ!捨てるべきは今!





まずいですね.....幽霊的には.....落ちると.....宿主も死んじゃうんで.....消えるのは.....困りますね.....


はぁ。.....はぁ。.....


いっちょやりますか.....





幽霊!お前はやればできる子だ!いけー!





ポルターガイストで.....テロリストの銃を.....粉砕.....





おお、強いな幽霊!





で、.....テロリストを.....気絶.....





やるな!幽霊!かっこいいー!


あ?操縦はどうなってんだ?





忘れてました.....




わすれてたじゃないだろぉお!?



「お客様の中にパイロットはいらっしゃいませんか!?」

「いるわけっ.....ないだろ.....」


(医師免許を持った人が『医者しか呼ばれてないから』って言って断るのはおかしいじゃろ)


「っは。」


そうだ.....何事も.....できる人間がやるべきなんだ!




「自分!零戦好きです!」

「死んでくださーい」




みんな命.....軽いなぁ.....
























とか考えてみたり。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お客様の中に幽霊の方はいらっしゃいませんか!? 石岡 @isiokakun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る