蛇足(或いはそこに至る過程)

第漆章 白の断章

 沙夜香は、彼女ではない。

 それは判り切ったことだ。

 椅子に座って、僕はじっと目の前で起きている惨劇を眺めている。

 もうこれで何度目だろうか。

 感覚はすっかり麻痺してしまった。

 今ではそれを見ている自分自身の姿ですら、客観視出来る気がする。


 赤い部屋。

 血塗られた部屋。

 彼女で染められた部屋。


 指の無い手ですがりつく彼女の顔を、僕は覚えていない。

 そこにはいつも、沙夜香がいる。

 僕の中で、彼女は沙夜香になりつつある。

 そんなことはあり得ないのに。

 僕は、あそこで死んでいったであろう彼女に、沙夜香であってほしいと願っているのだろうか。

 僕が沙夜香に望んでいることは、こんな残酷なことなのだろうか。


 沙夜香は生きている。

 僕は、彼女の鼓動を知っている。

 生きてこの家に、僕のすぐ近くにいる。

 声をかけて、言葉を交わすことが出来る。

 手で触れて、その暖かさを知れる。

 あの赤い部屋にいなくても、僕は彼女に会って。


 月の光を、共に浴びることが出来る。



 月光浴の習慣。

 沙夜香と並んで、空の泉に浮かぶ月を見上げて。

 死者を想う。

 そこには僕の父と、母がいる。

 沙夜香の父と、母がいる。

 そして、彼女がいる。


 月明かりに照らされながら、僕は幾度となく沙夜香の唇を吸った。

 まるで、それが生きていることの証であるかのように。

 沙夜香が、彼女では無いことを自らに思い知らせるように。

 強く抱きしめて、この手でその感触を確かめていなければ。

 すぐにでも、彼女は、沙夜香になってしまいそうだった。


 赤い部屋に、沙夜香を奪われたくない。


 僕は気付いている。

 赤い部屋の奥に、黒々と口を開けた入り口があることを。

 ぽっかりと穿たれた暗黒。

 その先にあるのは、黒い部屋だ。

 光の入れない、黒一色に包まれた部屋。

 僕自身足を踏み入れたことの無い、中を窺ったことすらない。

 深淵。


 彼の住まう場所。



「啓太さんは、私に何を望むのですか?」

 沙夜香が僕に問いかけてきた。

 甘くて、苦い言葉だった。

 僕は、沙夜香に何を望んでいるのだろう。


 沙夜香は、僕に全てを預けてしまっている。

 僕を受け入れてしまっている。

 僕の中に、血塗れの彼女がいることを知りながら。

 母のように優しく微笑んで、そっと抱き締めてくれる。

 欲望なのか何なのかすらはっきりとしない僕の衝動を、ただひたすらに受け止めてくれる。


 赤い部屋のことを、僕は沙夜香に話した。

 僕はあの部屋に囚われている。

 助けを求めて来た彼女のことを、忘れられずにいる。

 彼女はずっと、僕を呼び続けている。

 すがり続けている。

 僕は逃げている。

 彼女と向き合う勇気が無い。指の無い掌を、握る勇気が無い。


 沙夜香は、彼女じゃない。

 彼女のことを沙夜香に話して、僕はその確信を強くすることが出来た。

 そうだ、彼女のはずが無い。

 彼女は死んだんだ。あの時、あの場所で。

 僕に見捨てられて。

 血で染まった真っ赤な部屋の中で。

 僕に、助けを求めながら。


 月の光が、沙夜香を照らし出す。

 暗闇の中にいる全ての者を、受け入れて、許してくれる光。

「その子のこと、忘れられないんですね」

 そうだ。

 だから、こうして僕は沙夜香を利用している。

 使っている。

 そう言ってしまって良い。僕は、沙夜香の心に付け入って、ただ汚しているだけだ。

 彼女では無い沙夜香が、まるで彼女であるかのように扱って。


 沙夜香は彼女じゃない。

 今こうして、僕の目の前で生きている。

 彼女は沙夜香じゃない。

 赤い部屋の中で、苦しみに飲まれて息を引き取った。


「啓太さんは、私に何を望むのですか?」

 沙夜香の声が、僕を揺さぶる。

 雑木林の緑が濃い。

 また、あの季節がやって来る。

 ドアの隙間から、彼女が僕の腕を掴む。

 笑い声が聞こえる。

 抗えない。僕は、扉の向こうに足を踏み入れる。

「私は、幸せです」

 耳元で、沙夜香の声がする。


 夜の空気は、たっぷりの湿気を含んでいる。

 そこに座っているだけで、じわじわと汗が染み出してくる。

 虫の声が響くその空間で、沙夜香は妖しく微笑んだ。

「人は、死んだら月に行くそうです」

 沙夜香の好きな話。

 父から聞いたというその言葉を、沙夜香はいつもうっとりと口にする。

 月を見上げる沙夜香の視線の先には、いつでも沙夜香の両親がいた。


 ならば、沙夜香はこの逢瀬を常に両親に見せているつもりなのか。

 僕と共にいることを、僕と唇を重ねることを。

 そして、僕と愛し合うことを。

 沙夜香は、生きることにそんな喜びを見出しているのだろうか。

 僕といることが、彼女の生きる喜びなのだろうか。


 僕が、沙夜香に望むこと。


 新月の夜、真っ赤な月に見降ろされて。


 足元に、沙夜香の身体を組み敷いて。


 白く、細い頸に。



 僕は、強く指を食い込ませた。



 赤い光に照らされたこの広場は、まるであの赤い部屋だ。

 僕の中で、指の無い彼女がせせら笑う。

 力を込めろ。

 息の根を止めろ。

 沙夜香を、彼女にしてしまえ。

 僕は、自分の指に抵抗し、自分の意志に抵抗し。


 沙夜香から、自らを引き剥がした。


 月が翳った。

 真っ暗な闇の中に、粗い息遣いだけが聞こえる。

 それは僕のものだけでは無い。

 すぐ横で、沙夜香が息をしている。

 生きている。

 僕に殺されそうになった沙夜香が、そのままの姿勢、仰向けに横たわったままで。

 じっと、空を見詰めていた。


「どうして、抵抗しなかったんだ?」

 僕に押し倒され、組み敷かれ、首を絞められている間。

 沙夜香は、一切逆らうことをしなかった。

 ただ大人しく、されるがままに、僕に殺されようとしていた。

 あと少し、僕の指に力が込められていれば。

 沙夜香の華奢な喉笛など、ひとたまりも無く握り潰されていただろう。

 他でもない、この僕の手で。


「敬太さんが」

 掠れた声で、沙夜香は応えた。

 姿は見えなかったが、僕には容易に想像することが出来た。

 沙夜香の、恍惚とした表情。うっとりとした眼差し。

「私を、月に連れて行ってくれるのかと思って」

 壊れている。

 沙夜香は、まだ壊れたままだった。

 その言葉を聞いて、僕は大声で吠えた。


「沙夜香、君は生きるんだ」

 咽喉の奥、更にその奥から、叫びが溢れてくる。

「月になんか行くな。あそこには何もない」

 涙が噴き出した。

「ただ寒いだけだ。あんな場所は、ただ寒いだけなんだ」

 誰の言葉だったのかなんて覚えていない。

 ただ、血を吐くようにして、僕は沙夜香に、僕の中の全てを叩きつけた。


 父と母を求めて。

 取り残されたこの星に絶望して。

 月に旅立つことを望む。

 そんなのは、あまりにも悲し過ぎる。


 僕は沙夜香に生きていてほしい。

 生きて、温もりを分かち合いたい。

 壊れてしまった沙夜香の心を拾い集めて。

 僕のための沙夜香として。

 生きてほしい。


 沙夜香が、身を起こすのが判った。

 僕も立ちあがった。

 まだ呼吸は落ち着かない。

 涙と、唾液と、汗が、全身を濡らしている。

 再び、雲間から新月の光が降り注ぐ。

 赤。

 僕を狂わせる、赤い光。


「敬太さん」

 沙夜香の顔は、恐怖に震えていた。

 僕に殺されようとしていた時には、何一つ恐れてなどいなかったのに。

 今、僕を凝視する沙夜香は、まるで化け物の姿でも見ているかのようだ。

 いや。


 ここにいるのは、紛れもない化け物だ


「沙夜香、君のお父さんもお母さんも、月になんかいない」

「やめて」

 沙夜香が耳を塞ぐ。

 だだをこねる子供のように、首を横に振る。

 拒絶する。

「月には、死んだ人はいない」

 僕の言葉は止まらない。

 胸の奥から、とめどなく溢れてくる。

 止められない。心も、身体も。


「みんな、あの黒い部屋にいるんだ」


 壊れている。沙夜香も、僕も。

 そんなことは、自分が一番よく判っている。

 赤い月を見上げて。

 僕は、もう一度あの場所を訪れるべきだと。

 自分自身に、強く言い聞かせた。



 父の葬儀から、どれくらいの月日が経ったのだろうか。

 故郷に向かう列車は、あの時とまるで変わらない。

 違いがあるとすれば、今度は一人きり、ということぐらいか。

 康弘おじさんも、沙夜香もいない。

 僕は、たった一人であの場所に向かおうとしている。


 あの日から、沙夜香は僕を避けるようになった。

 当然だ。

 僕は、彼女の唯一の心の拠り所を穢してしまった。

 彼女の全てを否定してしまった。

 そうやって、彼女をただの哀れな子供に貶めてしまった。


 だが、それは必要なことだった。

 沙夜香は、あまりにも死に魅せられすぎている。

 月に踊らされすぎている。

 僕の中にある何かに、囚われすぎている。


 これ以上、彼女が沙夜香になってしまってはならない。

 もしまた赤い月の下で、沙夜香と二人きりになってしまったなら。

 僕は間違いなく、沙夜香を彼女にしてしまうだろう。

 そして沙夜香自身も、それを喜んで受け入れてしまう。

 僕のことを、月への導き手とみなして。


 殺してほしいと、懇願してしまう。


 僕は壊れている。

 あの赤い部屋で見た光景。

 僕の心の中に焼き付いた、彼女の記憶。

 沙夜香との出会いが、僕の中にいる彼女を目覚めさせてしまった。

 緩やかに、静かに崩れていたはずの僕は。

 沙夜香によって、あっという間にその形を失う程に破壊されてしまった。


 康弘おじさんも、僕と沙夜香の間の空気の変化に気付いていたようだった。

 だが、そのことについては何も触れてはこなかった。

 二人が夜、家を抜け出していることも。

 逢瀬を重ねていることも、康弘おじさんは知っていたはずだ。

 今更、かける言葉など何も無かったのだろう。


 僕が一人、故郷に帰省すると言い出した時も、康弘おじさんは何も訊かなかった。

 それはとても有難いことであるのと同時に。

 やはり、酷く胸の奥が痛むことだった。

 叔父の家を出る時、沙夜香は見送りには来てくれなかった。

 父が来てくれなかったように。

 今はそれで良い。

 僕はまず、あの場所にいかなければならないのだから。



 陽射しが強い。蝉の声が騒々しい。

 夏だ。

 子供の頃は、よく山の方、別荘地の辺りまで虫取りに出かけていた。

 白い網を振り回して、色取り取りの蝶や、珍しい蜻蛉を追っていた。

 真っ黒になるほど日焼けして、日がな一日森の中を彷徨って。


 あの場所を、見つけたんだ。


 森に入ると、今度はすぐに景色が変わった。

 僕のことを招いているのだろうか。

 天井のライトが眩しい。

 光が強い。見上げても、光があるだけで何も見えない。

 その先には、きっと何もない。

 だから、気にする必要なんて無い。

 僕にはもう、全てが判っている。


 緑の部屋。

 小さな椅子。

 落書きされた扉。

 そうだ。ここから始まるんだ。

 椅子の上に、彼女が座っているのが見える。

 沙夜香ではない、彼女。


 彼女の名前を、僕はまだ思い出していない。

 よく知っていたはずなのに、声に出そうとすると消えてしまう。

 名前を呼べば、彼女を助けることが出来たかもしれないのに。

 彼女は助からなかった。

 だから、僕はもう彼女の名前を呼ぶことは出来ないのか。

 黒い髪と、つむじだけ。

 顔も名前も、僕の中から消えてしまった彼女。


 木製の扉を、僕はためらうことなく開けた。

 その先に広がっているのは、赤い部屋。

 判っている。

 小さな丸テーブルの上に載せられた、彼女の指。

 僕は、それが欲しかったんだ。

 白くて、艶々としていて。


 それがあれば、僕はずっと彼女と一緒にいられると思ったんだ。


 彼女の指を名残惜しく見詰めながら。

 僕は、そのまま奥の扉へと向かった。

 正直に言えば、今でも彼女の指は欲しい。

 幼虫を思わせるふよふよとした柔らかい感触。

 それでいて、芯の通った硬い骨の手触り。

 僕はずっと、それを見て憧れていた。


 虫篭の中で、水槽の中で。

 丸くて、ふっくらとした彼女の指を飼育する。

 指はもぞもぞと蠢き、僕の身体の上を這い回り。

 命を吸って、生きながらえる。

 やがて指はさなぎになり、干からびた皮膚と爪を突き破って。

 美しい、僕だけの彼女が産まれる。


 この甘美な妄想が、僕をおかしくしてしまったのだろうか。

 心の奥底に憑りついて、離れなかったのだろうか。

 沙夜香。

 沙夜香はきっと、あの指が成長して、脱皮して産まれたものに違いない。

 そんな妄想が頭を離れない。

 おかしい。

 僕は狂っている。


 沙夜香は彼女じゃない。

 彼女は沙夜香じゃない。


 判り切っていることなのに。

 僕はその真実を受け入れたくない。

 月の光を浴びて。

 月に死者がいると語る彼女を。

 僕は、ただの生きた人間なのだとは思いたくなかったのだ。

 僕のことをこんな風にしてしまった彼女であると、そう信じたかった。


 そうだ。

 だから。


 彼女の顔は、沙夜香とは似ても似つかなかったんだ。



 僕は扉の前に立った。

 背後で、真っ赤な絨毯が大きく波打っている。

 酷く穏やかで。

 酷く騒々しい。

 古びた木製の扉の向こうからは、何の物音も聞こえてこない。

 でも、僕には判っている。

 この向こうには、無数の死者がひしめき合っている。


 扉に身体を押し当て、今か今かと待ち構えている。

 解放されるのを、外に出る機会を伺っている。

 あの時溢れだした死は、彼女を赤い部屋の中に沈めて。

 そのまま、僕の心の中に巣くった。

 僕の中ではまだ、死がすくすくと育っている。

 この部屋の記憶と共に、大きく成長している。


 沙夜香が、僕に問いかける。

「啓太さんは、私に何を望むのですか?」

 僕は、君に生きてほしい。

 彼女ではない、沙夜香に生きてほしい。

 この手が、君を赤い部屋の底に沈めてしまう前に。

 あの月明かりの広場から、逃げ出してほしい。

 死が、救いではないことに気が付いてほしい。


 月には、何もない。

 それは幻想だ。

 人は死んだら、何も残さない。

 ただひたすらに寒い暗闇の中で、じっと息を潜めて。

 こうやって、扉の向こうからこちらを窺うことしか出来ない。

 哀れで、悲しい。


 赤い部屋が歪むのが判った。

 僕を取り込むのか。

 大きく床が盛り上がる。

 赤い隆起、赤い津波。もう部屋の中はただの赤の奔流。

 僕はその狂乱には目もくれずに。


 そっと、扉を開いて。


 その向こうにある深淵を覗いて。


 自分の中にある死を、送り返した。



 眩しい。

 視界を埋め尽くしているのは、白だ。

 僕は白の中にいる。

 白い部屋。全てを抜けた先にある。出口の空間。


 ゆっくりと目が慣れてきた。

 眩しい光は、真夏の太陽だ。

 暑い。気温が感じられる。ぐっしょりと濡れたシャツの感触。

 口の中が乾いている。唾液が糸を引いている。


 半ば倒壊した別荘。

 そう、半分はもう崩れ落ちていた。

 僕が開け放った扉の向こうには、生い茂る木々が見えていた。

 無造作に散らばる家の残骸。

 それを、陽の光が余すことなく照らし出している。

 黒い部屋は、もう存在していなかった。


 何も無い。


 結局、死は何も残さない。

 覗き見ることすら出来ない。

 ただ、きまぐれに触れることがある。触れられることがある。

 僕は、その残滓を。

 ここで受け取った死の欠片を、あるべき場所に戻した。

 そう思うことにした。


 この場所は、もうただの廃屋だ。

 かつては死が、そこかしこに満ちていた。

 僕を魅入って、虜にしていた。

 赤に沈む彼女の姿を。

 切り離された白い指を。

 僕は、たまらなく美しいと思った。


 解放された。

 死は黒い部屋と共に眠りについた。

 僕は正常だ。

 おかしくなんかない。

 狂ってなどいない。

 僕は、彼女が沙夜香でないと知っている。

 沙夜香が彼女ではないと解っている。


 ぼろぼろの室内を抜けて、玄関先に戻る。

 カウチに放置された椅子の上に、彼女の姿は無い。

 それでも僕は、小さく一礼した。

 これでお別れ。

 二度と会うことは無い。思い出すことも、無くなっていく。

 彼女の名前は、結局記憶の淵から蘇ることは無かった。

 だが、それでいい。


 森の中を歩きながら、僕はこれからのことについて考えた。

 叔父の家に戻る。そして。

 沙夜香を、どうするべきか。

 僕と同じように、死に魅せられた沙夜香。

 僕は、沙夜香をどうしたいのだろう。

 沙夜香は、僕にとってなんなのだろう。


 一度、正面から向き合ってよく話し合ってみるべきかもしれない。

 月を見上げる沙夜香を、死から引き戻してあげたい。

 沙夜香の両親も、きっとそれを望んでいる。

 沙夜香が望むには、死は、まだ早すぎる。


 今ではないいつかなら、僕は沙夜香と一緒に月に向かっても良いと思う。

 一人ではないなら。

 沙夜香が望んでくれるなら。

 そんな言葉で取り繕ってはいるが、自分でもちゃんと理解している。


 僕は、沙夜香が欲しいんだ。

 そして、生き続けてほしいんだ。


 森を抜けた。

 僕は帰ってきた。

 世界。部屋の外。

 死に包まれた場所から、命溢れる場所へ。

 知らないうちに笑顔がこぼれる。

 疲労感が、自分の生を証明してくれる。

 終わったんだ。


 その時、視界の隅に彼女の姿を捉えて。


 僕は、再び死に囚われた。


 遠い昔。中学の頃だろうか。

 茜色に染まった教室の中で、僕の前にいた彼女。

 もう一つの赤い部屋。

 机を挟んで笑う彼女の唇が、妖しく蠢く。

 彼女の背後から、ゆっくりと。

 赤い人影が身を起こして。


 僕に向かって、優しく微笑んだ。


「おかえりなさい」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

白の断章 NES @SpringLover

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ