第19話

「メリル神の後釜に付いた女神如きの剣に我を断つことなど叶わぬぞ?」

「鈍らでも構いませんので」

 止める言葉は持たなかった。目の前で春奈と魔王の戦いが始まる。


 春奈の周囲に光の球が七つ生まれる。それらは光の矢となり魔王へと迫った。

 魔王がその光の矢を凝視すると、それは青い炎と共に霧散する。

 光の矢に魔王の意識が向けられた隙に、春奈は魔王の下へと肉迫していた。

 剣が振るわれ、その切っ先が魔王に触れ、そしてそこで制止する。


「斬れぬと、そう言った」

「鈍らでも構いません、そう申し上げました」


 魔王の肌の表面に七色の錬気が浮かび、聖剣の刀身が七色の錬気で覆われる。

 聖剣の刀身が極々わずかに魔王の肉体へと沈み、それから春奈は魔王から距離を取った。


「恐ろしい娘じゃ」

「そのお言葉、そっくり返させて頂きます。お聞きしても?」

「よい」

 二人は互いに余裕を失くした表情を浮かべ、視線を定めず相手の全身を見回している。

「魔王さまは異界の者なのですか?」

「……お主は純血の異界人かの?」

「私は世界を渡ることで異能を得た異界人同士の血を重ねたらどうなるか。その実験の結果です。とは言え、私以外の実験体はさほど力を持たないので偶然であり、実験は失敗である。そう結論付けられています」

「そうか。それは僥倖じゃ。さて、では先ほどの質問に答えよう。我は純血のメリルの者じゃ。魔界もメリル神が作り出した世界じゃしの。そう言った意味では魔族は全て純血のメリル人じゃ」

 春奈の顔が不審で歪んだ。


 その顔目掛け、魔王の灼眼が焦点を合わす。

 そして、春奈の右眼がそれを打ち消す。


「ふむ、灼眼すら使いこなすか。娘、お主の寿命は何年じゃ?」

「どうでしょうか、明日死ぬかもしれませんし、千年生きるかもしれません」

「そうか。ならば我はここを去り、待つという選択肢もあるの」

 春奈が俺へと視線を向けた。春奈はそれでもいいと思っているのだろう。

 俺は、肯いてやることが出来なかった。


 ライナが錬気を練り始めると、童女がその首元に氷の刃を向けた。

「手出しするのなら殺す、なの」

 童女の半眼の瞳が、水色の輪を幾重にも描いていた。

 童女も童女で何を考えているのだろうか。それは魔王にもわからぬようで眉を八の字にしていた。ただそこに不快はないようで、魔王の表情は和らいでいた。


「私は異界人もメリル神もどうでもいいの。ただ、マリアを喪った時の気持ちは二度とごめんなの」

「俺らが聞いていた魔族像とだいぶ違うんだけどよ、お前ら皆がそうなのか? それともお前らが特別なのか?」

 ライナは首元に突き付けられた刃へと視線を向けながら、尋ねた。


「特別じゃない、そう言ったら殺してきた弱ちゃんに対してお前らは何をしてくれるの?」

「……何もしねえよ、お互い大勢死んで来たからな」

 鼻で笑うライナに対して童女は特に嫌悪を強めることなく、刃を引いた。

「それでいいの。お互い理解出来ない者同士なの」

 童女は再び壁際に寄り、壁に背を預ける。


「一つ、契約をするかの?」

 魔王は春奈ではなく、俺に向かってそう言った。

「内容は娘の死まで我は眠る。代わりに目覚めた我は娘を食らう。我はその力を持って異界人を滅ぼすつもりじゃが、そこは契約内容に含まなくてもよい」

 契約は絶対遵守されるのがメリルという世界のシステムだ。ならば今後数十年は平和を取り戻せるだろう。

 問題を先送りにすることが出来る。稼いだ時間を使って方針を協議し改めて灼眼の魔王に対応することも出来るかも知れない。


「お前に、メリットがない気がするんだけど」

「ある。我に対抗できる力はその娘と未来の落涙をおいて他にはない。そして落涙は我と敵対する理由がない。そうじゃろう?」

「灼眼が真実を告げるならの条件付きなの」

 片目は閉じ、もう片側は半眼のまま童女は魔王を見た。


「灼眼は強すぎるの。メリルで生まれた存在がメリル神と同等の力とかあり得ないの」

「誤解をしておるの、落涙。我はメリル神の足下にも及ばぬ」

 童女は顰め面を浮かべ、両目を半眼にした。

「それなら何故狂ったメリル神が異界人如きに遅れをとったなの。破壊の権化と成り果てながらメリルがまだ存在する、それは矛盾しているの」

「我は破壊しようとするだけの化身となったと言うたじゃろう。結局、メリル神は破壊することなぞ出来なかったのじゃよ。異界人なぞ愛する対象にならぬというのに優しきあやつはそれすら破壊できなかったのじゃ。愛するメリルを苛む相手すら滅ぼせぬほどの情という物じゃ」


「訳がわからないの」

「そうじゃな、我にもあやつを完全に理解することは出来ぬ」

 だからこそ知りたい。そう思い友となった。魔王は続けた。

「さて、小僧。我が止まらぬということはいい加減悟ったかの? 選べ。今異界人が滅ぼされるか将来異界人が滅ぼされるかじゃ」

「お選び下さい魔王さま、今私に滅せられるか、眠るかを」

 春奈が一瞬だけ俺を見た後、そう口にした。俺が結論を出せていないのが通じたのだろう。


「我は負けぬよ」

「そのお言葉、真意は読めました」

 そうか。そう言葉にし、魔王と春奈が再び切り結んだ。


 春奈の灼眼が魔王の胸元へと向けられ、そこに水晶の破片が生まれ、すぐに崩れた。

 魔王が手を翳し、そこから七色の炎が生じ、それは春奈に向かい火を吐く。

 受けた女神の聖剣が、瞬時に融け、春奈はそれを捨て、魔王の眼前まで瞬間移動をする。

「振」

 春奈が魔王の胸元に拳を当て、錬気を流し込む。

「それは小僧が見せた」

 魔王の身体から七色の錬気が流れ出た。色合いからそれは春奈の錬気だとわかった。


「……たった二人分の異界人の血も、メリル神はお許しになられませんか?」

「無理じゃろうなあ。あやつは今心がない。異界人共が壊してしまいおった」

「あなたがお傍に居続けることで元に戻りはしないでしょうか」

「あるいは。じゃが愛する全てを守れず、奪う者を殺せず、その葛藤の末に壊れた心を取り戻して見せると言えるほど我は傲慢にはなれぬよ」

 話しつつも、二人は戦闘を続けている。

 七色の錬気が生まれては消えていく。その色合いは春奈の方がよほど濃いのに、それでも魔王は負けない。互いにわずかばかりの傷を刻みあうばかりだ。


 木偶のように身体は動かなかった。思考は堂々巡りで回す相手のいない歯車のようだ。


「……そろそろ終いにしようぞ。互いに加減はもうよいじゃろう」

「まだ、私たちは死ぬ訳には行きません」

「小僧に期待し過ぎじゃ」

 魔王の視線を受けた気がして、俺の身は竦んだ。


「そうするだけの理由があります。勇ちゃんの肉体に宿りながらお気づきになられませんでしたか?」

「力は魂に宿る。その魂を食らった我が保証しよう。あの小僧は無能じゃ」

「いいえ魔王さま、それは違います。あなたが召し上がった魂は全て一心さまがその肉体に封じた上澄みに過ぎません」

 顔を上げれば、春奈の目がこちらに向けられていた。潤み、真直ぐに向けられたその目に応えたい。そう脳裏に浮かぶがその手段が思いつかない。


 俺は対象に錬気を打ち込む技しか使えない。それをどう利用すれば全てを解決出来ると言うのだ。


「もうよいじゃろう。我と共に滅びよ娘」

 魔王のその言葉に、俺は身体の中で電流が流れるように感じた。絶対に正しくない、だけど俺にはもうその答えしか思いつかなかった。


「お前たちが戦う必要はない」

 皆の目がこちらを向いたのがわかった。

「春奈、俺の錬気を異界人全員に伝えることは出来るか?」

「どうするの?」

 気遣うような声だった。出来ないとは口にしないが、事と次第によってはというところだ。


「娘が出来ぬようなら我が行おう。して、その真意は?」

 自分から語りかけておいて言葉を躊躇する自分が嫌になる。だけど、俺は決めた。

「異界人の血を全部封印する。この身体に入ってから錬気がやたらと馴染むんだ。今ならきっと封印術が使える。術の発動は俺がやるからもう一役、術の効果範囲を担当する奴が必要だ」

「ふむ、一心の直系である小僧なら出来るやもしれんの。じゃが、言っている言葉の意味を理解しておるか? まず純血の異界人はその衝撃でほぼ確実に死ぬぞ」

 かもしれない。いや、そうだろう。彼らは何も知らされず、知らず俺に殺されることになる。


「だろうな。だから俺の錬気を伝える役目は春奈にして欲しい。春奈、ずっと俺の隣に居てくれるか?」

 全ての罪も、受ける憎悪も、死ぬことも春奈と一緒なら俺は怖くない。この意味が春奈に伝わるかどうか何て、俺は微塵も心配していない。ただ、春奈が断るようなら俺は例え怖くても一人でやる。

「……わかったよ」

 俺が死ぬようなことはしないと駄々をこねられるかと思ったから正直拍子抜けはした。だけど春奈は俺の本気を受け止めてくれた。自分も死んでしまうというのに、俺と死ぬのなら構わない、そう思ってくれたのかもしれない。自分勝手ではあるけれど、少しだけ嬉しい。


「魔王さまは」

「我が小僧の上澄みの魂を食らいつくした段階で異界人の血はない。契約じゃ、我はお主らに偽りは言わぬ。お主らも我に偽りはなしじゃ」

「その契約、結ぼう」

 俺が言うと、魔王は肯きを返す。

「春奈、始めてくれ」

 春奈の周囲に七色の錬気が生まれ、広がっていく。そして俺はライナへと視線を向けた。

「まあ、俺は大丈夫だろ」

 ライナの異界人の血は薄い。だからきっと大丈夫だ。俺は首肯した。


「勇ちゃん、もう大丈夫、私に錬気を打ち込んだら皆に届く」

 もの凄く簡単なことのように春奈が俺の計画の準備を終えてくれた。感謝と、最後の気持ちを込めて俺は春奈を抱きしめた。俺と春奈は純血の異界人だからまず助からない。

 目を閉じ、自分の中の錬気を練る。練り続けて、かつて発動出来なかった封印術の形を思い出す。それがはっきりと自分の中に浮かび、定着した。出来ると、確信出来た。


「ライナ、生き残った奴らには絶血の魔王が生まれてお前が倒した。そういう話で行こうぜ」

「あいよ。胸糞悪いけどそういうことにしとく」

 悪いな。口の動きだけで告げて俺は封印術に手を伸ばす。

 そして封印術が作動した。それは春奈を通じ、勢いが衰えることなく多岐に別れた。きっと春奈の力が支えてくれているのだろう。対象の一人一人に俺の錬気が十全に伝わったのを感じる。


 二呼吸の間が空いて、そして春奈がその唇を動かした。

「五千人が死んで、五百万人が生き残ったよ」

 魔王の取る手段では全滅していた人数から考えると、かなり多くの人間を救えたと思う。だけどそれを誇る神経は俺にはなかった。それに何よりもまず疑問が湧く。


「……春奈、何で俺たちは死んでない?」

 俺たちは純血だ。俺はその血の気配を頼りに全ての異界人の血を封じたはずだった。

「どういうつもりじゃ?」

 春奈が俯いたまま、俺の抱擁から抜け出す。その足下に、雫が一滴垂れた。

 このままだと、今俺たちが行った虐殺の意味がなかった。俺たち二人が生き残ってしまっていたら例えメリル神を蘇らせてもそれは破壊神を呼び起こしたのと変わらなくなる。


 血の薄いライナですら今は意識を失っていた。俺たちに異常が起きない理由がない。

「だって、私たちは死ぬ必要、ないから」

 五千人殺しておいて死ぬ理由がないと春奈が言う。信じられなかった。仮に異界人の血を残しつつ全てを解決に導く方法があったのなら、どうして殺したのかという話になる。

「まだ我と争うつもりか」

 魔王が再度七色の火の粉を浮かばせた。


「違いますよ、魔王さま。私たちは異界へ行きます」

「そんな、方法があったのか? なんで先に言わなかったんだよ、皆連れていけば良かったじゃないか。五千人、殺す必要何てなかったじゃないか」

 つい、語気を荒げてしまう。


「そうか。そういうことか。止めい小僧、娘の判断は正しい」

「わかるように話してくれ!」

 みっともないのは百も承知だ。こんな自分が嫌になる。だけど、耐えられない。

「移り住んだ異界に先住民が居ったらどうする、メリルの二の舞じゃ。その点小僧と二人なら影響を与えずに暮らす自信が娘にはあるのじゃよ。番なら娘の心情くらい察せ、知れ者が」

 頭にはいくつもの言葉が回っていた。しかしそれが何を表しているのかわからない。


「五百万人助けたよ……ねえ勇ちゃん。魔王さまを放っておいたら全員死んでた。私たちが助けたんだよ? 五百万人。それだけの命が異界人としての血を失ってメリルの血だけになった。錬気はなくなったかもしれないけど、この人たちはメリルでまた同じ暮らしが出来る。きっとメリル神さまも心を取り戻して、皆幸せになれる。魔王さまが愛した人だもん、そのくらいして貰わなきゃ困る。魔王さまにだってそれくらいして貰わなき嘘だよ」

 春奈の足元にはもう少なくない量の涙が溜まっていた。


「五千人殺しちゃったから私たちは幸せになっちゃいけないの? なら魔王さまを私が倒してメリル神さまの復活を阻止して、それで勇ちゃんは満足してくれた?」

 それは、ないだろう。そしてそのことに気付いた俺にはもう春奈を責める言葉はなかった。


「我が名は絶血の魔王なり」

 天井を見上げ、俺はそう口にした。

「魔族の本質は自由だったよな?」

 魔王を見やると、微笑を浮かべてくれた。

「そうじゃ。言葉の意味がわかったようじゃな」

 答えを決め、後悔せず、罪を犯せばその罪を背負う。そんな意味なんだろう。

 俺はそれを二人で分かち合うことが出来る、きっと幸せな魔族だ。


「春奈、ごめん。みっともないとこ見せた。愛想、尽きたか? まあそれでも俺はお前を愛してるけど」

 春奈が顔を上げ、濡れた目を瞬かせている。黒い瞳も、赤い瞳もどちらもこの世で一番輝く美しい物だ。

 春奈は首を左右に思いっきり振った。その拍子にいつもの安らぐ香りが俺の鼻まで届く。


「私も、勇ちゃんを愛してます」

 春奈はそう言って涙を浮かべつつ、満面の笑顔を見せてくれた。


 春奈は胸元に手を当て、そして魔王が灼眼を使う時に口にする言葉に近い音を発し、七色に光る珠を手に取りだした。きっとそれがメリル神の半身なのだろう。

 魔王が大切なものを受け取るように恭しく触れた。

「異界へは我が送ろう。お主の残った力はいつ補給出来るかもわからぬ、大切に使え」

「はい、お願いします」

 春奈共々俺は頭を下げた。その拍子に、視界に童女の足が映る。


「退屈になったらそっちへ行く、なの」

 魔王が力を認めている童女だ、そんなことも可能なのかもしれない。

「腑に落ちない」

 目覚めたライナは錬気を失っているが、変わらぬ迫力がある。きっと滅びた王国を立て直す中核になるだろう。

「なんか色々迷惑かけたな」

「お前は何も悪いことをしてねえよ」

 早よ行けと言わんばかりにライナは掌を揺らしている。


「行くか」

 握った春奈の手は暖かい。俺の腕を取るように寄せた身体は柔らかい。

「では送ろう」

「魔王さま、メリル神さまのことをよろしくお願いします」

 言葉にはせず、魔王は微笑みで返した。


 靄の中でさ迷う調子だった。春奈とはぐれぬよう身を寄せ合い、歩く。上下左右の区別のない空間で進んでいるのか停滞しているのかもわからないその世界。

「これ、魔王失敗したんじゃないのか?」

「かもしれないね。でもどんな世界でだって勇ちゃんが居ればそれでいいよ」

「俺は、もうちょっと色々楽しい世界の方がいいかな」

「酷い」

 春奈が目をばってんにして見せた。随分と久しぶりに見た気がした。


 そんな風に思っていると突然その世界に終わりが来た。

 靄が急激に晴れ、そして広がる世界は、暗黒だった。


 俺と春奈は何かの祭壇のような所に降り立ち、足下には何やら幾何学模様。

 前方には祈るように地に身体を伏せた大量の黒い外套を身に纏った者たち。

 そして最も祭壇に近い者が顔を上げ、俺たちと目を合わせた。


「お、おぉ……魔王さま。我らが祈りをお受け頂けたのですね」

 意外にも外套の下から覗く顔は、まだあどけなさの残る少女だった。そしてその少女は外套を脱ぎ捨て、裸身を晒し、俺たちに近づく。

「この身と魂、あなた――あなた、あなた方?」

 俺たちが二人だということに気付いたのだろう。何やら雲行きが怪しい。


「何か、あったんですか?」

 春奈が尋ねると、裸体の少女は一度咳払いをしてから姿勢を正した。

「我らが王国は帝国の侵略を受け、今まさに滅びようとしています。敵は魑魅魍魎を軍勢とし、攻めてきました。そこで我々は魑魅魍魎を統べるという魔王さまをお呼びして、彼奴らを退けて頂こうと。人同士の戦ならば我らは神の名の下必ずや王国に勝利をもたらしましょう。しかし異界の者が相手となると――」

「――いい、もう話さなくていい。それで、その魑魅魍魎ってのはすぐそこにいるんだな?」

「え、や、はあ。その、供物として私の身と魂を」

「要りません。勇ちゃんには私が居ます」

 異界ね。異界と聞いたらもう追い払うしかないだろう。追い払ったらまた別の異界に送って貰おう。呼べるなら送れるだろう。

 春奈を見ると、小首を傾げ、それから笑った。


 春奈と二人ならどこでだって生きて行ける。

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勇者の孫と魔王さま(改) 鳳小竜虎 @pixin2

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