なぜだか泣きそうになった

私には、おそらくもう関わる事もないであろう、絶縁した友人がいる。
唯一、ただ一人の親友であった。小学校から二十代半ばまで続いた関係であった。

彼との縁が切れた時から、私は人と話す事が極端に減った。
否、話す相手がいなくなったのだ。

私は彼を理解しているつもりでいた。
彼もまた私を理解してくれているであろう、そう思っていた。

すべてを語らずとも、多くを語らずとも、伝わっているものだと、そう信じていた。
疑う余地などないと思っていた。

そんな私情に関わらず、この短い物語は多くの人の心に何かを刺すだろう。
刺されてできた穴から噴き出るものが虹色に輝く美しい思い出か、鈍色をした苦い何かか、それぞれであろうが。

感情を揺さぶる物語はすばらしい物語である。

ぱおーん。

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