最終話 あきらめに似た気持ち
というよりも諦めそのものなのだけれど、この話でちょうど10話になるのでこれを最後にしたいと思う。
なにが諦めかっつうと、どれだけ好きになろうとしても結局本心から好きになれない(当たり前だ)ので、結局誰とも話があわず、友人が増える気配がないってことに気がついたからで。
でもせっかくここまでやってきたので、最後は本当に嫌いなものを好きになるように頑張ってみたい。
というわけで、僕が本当に嫌いなものを考えてみると、やっぱり仕事だったりするんだよな。納期確認めんどくさいし、資料そろえんのめんどくさいし、書類作成めんどくさいし。
でもまあそれをしない事にはお給金がもらえないので仕事するしかないんだけど、やっぱり嫌いなもんは嫌いだ。もともと好きで入った仕事でもないし、いつの間にか流れ着いていたからまあいいかっつってだらだら働いているんだけども。
そんだけだらだら働いてたら他の人間に失礼だろうよ、他人に迷惑かけないように自分が好きな仕事に付けよって話になるんだけれど、それもそれで気が進まない。なんでかっていえば、自分の性格上、好きな事をやっててもなにかしらの文句が出てくるにきまってらあ、てなもんだ。となればどんな仕事をするかより、てめえの性格を直す事が先決だっつって、性格を直すために出来る事がなにかあるか。
とか考えてたらいつの間にか8月も半ばを過ぎていて、その間も意外ときちんと仕事をしていた僕は流されやすいタイプ。
電話がきたらそっちへ向かい、ファックス届けばこっちへ走り、メールの嵐に指がつる。そんなこんなでそれでも仕事は苦手だからこれはもう現実逃避するしかないなっつって漫画喫茶に逃げ込んで、漫画をむさぼり読んでいる。
漫画を読みながら、なんで漫画や小説を読むのは嫌じゃないのに資料を読むのは嫌なのかとか、文章を書くのはいやじゃないのにメールをうつのは嫌なのかとか色々思考を巡らしていると、仕事が嫌なんじゃなくて、自発的に何かをできない、いいかえれば自分の都合ではなく他人の都合で動かされるのが嫌いなんだということに気がつき、僕は漫画喫茶を飛び出した。
事務所にもどり、今担当している物件の確認をして、自発的に動いてやれっつって僕の方から動いてみると、これはもしや楽しいんでないかと思うようになって。
相手の方もわざわざありがとうとかいってくるし、不具合が起こる前兆まで気がつくようになって、こらええわ。
となって、この状況、僕は仕事が好きになっているんじゃないかと感じていたんだけれども、やっぱりちがう。そうじゃない。ちがうちがう、そうじゃなーい。そ・う・じゃ・なーい!
というわけで、自発的に仕事を辞めることになり、僕は今、砂漠の真ん中につったっている。
明日食う米はある。しかも玄米だ。奥さんにはなんて言おう。だまっているのは限界だ。
と、こんな感じの人生も、時には楽しい。
タピオカとエッグベネディクト 足の裏太郎 @teramoto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
そろ十日記/Macheteman
★15 エッセイ・ノンフィクション 連載中 76話
独り言を少しかしこく見せたもの/on
★3 エッセイ・ノンフィクション 連載中 8話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます