あなたは幼い頃についた嘘、覚えていますか?

 この作品を読みながら、幼い頃の後ろめたさと、どうしようもなく逃げ場のない感覚を思い出していた気がします。

 いろんなことを考えすぎて結果的に誰かを傷つけてしまったこと、そんな人にも優しくしてくれる誰かが居て余計に自分が惨めに思えたこと、見抜かれたようにいじめられて何故か安堵したこと……。

 幼い頃に体験したささくれ立った気持ちが、この作品に散りばめられていた気がしました。
 私はそのことを忘れたくないのだろうか、それとも忘れたくても忘れられないのだろうか。

 未だに自分が距離を定められない幼い頃の気持ちを思い起こさせてくれるような、そんな素直な気持ちの詰まった短編でした。

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