【扉の先には……!?】

扉を見た5人+αは、その常識から外れたデザインにたっぷり数秒間思考停止してしまった。

「ねえ…迷宮の最奥、まさにボスが向こうにいそうな扉になぜ、あんな綺麗な模様が?」

「…さあ?…作った人の遊び心だろうとしか思えないけどね…」

扉には、何か様々な花の模様が見事に彫られていて、ここが迷宮だということを考えると、実に不似合いだ。

『あの花は、睡蓮ルヴァナ金色月花ゴールド・フロアね』

『…睡蓮はともかく、金色月花は相当なレアだったはずだが』

「確か、金色月花って何年か前、どこかの森で大量にあったって事が…」

「ん。多分その時だろうね。でないと秘境の最奥でなきゃ見つからない」

「じゃ………………開けるよ?」

         *       *      *

「………………………………え、なに……?」

「え、嘘だろ!?何故っ」

扉を開けた向こうには、激烈な…所謂、戦争の真っ最中だった。

『…ここに、【クリア条件:両軍の完全撃滅】って書いてあるわね』

『そういうことらしいな。行くしかないだろう?』

「まあ、そうなるね。じゃ、やることは1つだろう」

     *  _「      」_   *      *

次の瞬間、戦場を駆けていたのは、、恐ろしく冷たい氷のような眼をした5人。

言葉も交わさず、ニグレナとシグルズが大将を討ち、それまで残り3人は一般兵の殲滅という役割を決めた。

     

ニグレナ、否、〖幻影帝〗は、さっき【気配感知】で特定した片方の大将の存在地点へ一直線に疾走する。

唐突に、シコクとハクの2刀から細い蔦のような闇が無数に伸びていく。

それらは近くにいた兵士たちに問答無用で絡みつく。

       闇属性魔法スキル【ダークコスモス】。

蔦には無数の金の花の蕾。それが、兵士たちが闇に侵食されるのに比例するようにして花開いていく。中から、銀色の生命力の粒子を一斉に放出しながら。  まあ、見ようによっては美しい光景ではある。

その光景に腰を抜かした様子の前衛たちの後ろから、一際立派な鎧を着た大男が現れる。おそらく装備の等級からして大将だろう。

「何者かは知らんが、そのからして〖五帝〗の寵愛を受けたのだろう。相当腕に自信があるのだろうが、こんなとこまでくるとはな。」

指揮官たいしょうが右腕を上げると、周りの兵がきっちりとした包囲陣を組む

〈……………………………………………愚かな〉

無詠唱でいきなり放たれたのは、漆黒の雷撃。

直径2ルー(2メートル)はある極太の雷撃がヒュドラの如くそのアギトを開き、全てを喰らおうと襲い掛かる。

     雷・闇属性複合系魔法スキル【ブラック・ライトニング】。

雷撃が生み出した結果に見もくれず、同時展開した【気配感知】で感知したシグルズこと〖凍氷帝〗の存在地点へと疾走する。

        *         *       *

シグルズの主人格と交代済みの〖凍氷帝〗は、双刀エクニカルファインを縦横に振るってどんどん打ち倒していく。

そしてこれまた唐突に、エクニカルファインを宙へほうる。

双刀は空中で溶け合い、透き通った氷のように美しい長弓に変化した。

そしてその弓を右手で掴み、天へ向かって構える。

矢はないままに、弦を引き絞って、手を放す。

すると、いつの間にか鋭利な氷の矢が勢いよく発射され、大空を切り裂くように飛ぶ。その途中で、その矢に黒い闇が絡まり、その闇とともに、

氷の矢は狙い過たず、もう1人の総指揮官の眉間を刺し貫いた。

    氷・風・闇属性弓術複合系スキル【クロウ・トリックシュート】。

3つの魔法属性と、弓術に長けていなければ使えない、超上級スキル。

総指揮官が討たれたのを知った残りの兵たちは逃げようとするが、眩い閃光と激しい雷撃、激烈な炎と樹によって、全員地に倒れ伏した。

         (((((終わったな。戻るか。)))))





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

双凛撃のアルメニア ファランドール @wgbsh3ksc1zy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ