――――梅雨空の雨に混じって蛙哭き

 大気に溶け込む水気が、露になり、肌にまとわりつくように染みていく恐怖。
 自分が一体何者なのか。自分が一体何をしたのか。分からないままに進んでいく日常の、人格の崩壊。
 あまりにも冒涜的で、あまりにも邪悪で、あまりにも醜悪な結末。

 だがしかし、被害者たる彼の慟哭はこの世界の誰の耳にも届くことはないのである。

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