第3話
渋谷にやってきた。
道行く人々に写真を見せて回る。
「ああ、この子ならこの前見たよ」
「どこで見たんですか?」
「ハチ公の前。夜中に一人で発狂してたからどうしたのかなって。関わりたくないから無視したけど」
「それはいつのことですか?」
「昨日だよ」
「どうもありがとう」
そう言うと、玲奈はハチ公前に移動した。
今は人通りが多いが、深夜になると人はあまり寄りつかないだろう。
玲奈はタバコに火を点けて吸った。
(聡美はここで発狂していた……。覚醒剤の症状か。もう既に購入していて、射ったのね)
「かーのじょ!」
二枚目の男が玲奈に声をかけてきた。
「はい?」
「いいものあるんだけど、要らない?」
男が注射器とパケ一袋をチラッと見せる。
「んあ? 何これ?」
男は小声で言う。
「(シャブ)」
「あなたブローカーね? 木崎 聡美って知ってる?」
「……!? てめえ何者だ?」
「探偵の黒崎 玲奈よ。ある人に頼まれて行方不明になった聡美を探してるんだけど、その様子だと知ってるようね」
「だから何だよ? 警察にでも言うつもりか?」
「正直に話したら黙っててあげる」
「本当か?」
「嘘吐いてもこっちにはメリットないからね」
「そうか。聡美なら知ってるよ。上からブツを
「彼女はどうしてるの?」
「知らねえ。その後の事は何もな」
「そう……」
「で? これ買わない? 安くしとくよ」
「失せろクズ」
「何だよ、クソ!」
ブローカーの男は
聡美は目で追う。
暫くはここに
玲奈はスマホを取り出し、ブローカーの写真を撮影した。
「さて」
玲奈は聡美の捜索を再開する。
「すみません、この女性なんですけど、ご存知ありませんかね?」
道行く人々にそう訊いて回る。
知ってる人もいれば、知らない人もいる。
やがて、日が暮れ始める。
玲奈は事務所へと戻った。
シャワーを浴び、パジャマを着て寝室に入る。
(そうだ)
玲奈は携帯を取り、高岩に電話した。
「はい」
「高岩さん、玲奈です」
「おお、君か。どうした?」
「木崎 聡美の捜索中にシャブのブローカーに会いました。写真送ります」
玲奈は高岩の携帯に添付メールを送った。
「確認したよ。薬対課に上げとくよ」
「あと、マルタイも覚醒剤の摂取をしています」
「わかった」
玲奈は「失礼します」と、電話を切ると携帯を充電器に差し込んだ。
その後、ブローカーの男は逮捕され、聡美も発見され精神科へと送られた。
玲奈はそのニュースを事務所のテレビで見ていた。
私立探偵黒崎玲奈 @daisykatsura
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