第2話
玲奈は警視庁新宿警察署の捜査一課に来ていた。
警部補の
「高岩さん、最近の事で聞きたいのですが、身元不明の遺体が発見されたとか、そう言った情報は上がってませんか?」
「いや、上がってないけど。どうして?」
玲奈は
「そうか。それで、その失踪に事件性はあるのか?」
「いや、調査を始めたところだから、まだ何とも。とりあえず、身元不明遺体が出てないって事だけでも聞けてよかったです」
それじゃ──と、玲奈は会釈して捜査一課を出る。
調査は空振りだった。
玲奈は警察署を出ると、木崎家の周辺で聞き込みを始めた。
道行く人々に聡美の写真を見せて回る。だが、誰一人、聡美を見かけたと言う人物はいなかった。
(時間が時間だからなあ)
玲奈は事務所に戻り、明日の登校時刻に再び聞き込みをすることにした。
……。
翌朝、玲奈は聡美の登校時刻に合わせて木崎家周辺に行き、聞き込みをした。
「その子なら毎朝見かけるよ」
「ちなみに昨日はどうでした?」
「昨日は見かけなかったな。そういえば、一昨日から見てないね」
「そうですか」
玲奈は「ありがとうございました」とお辞儀をした。
(学校行ってみるか)
玲奈は聡美の高校へ向かう。
校内に入り、事務に顔を出して事情を説明する。
「わかりました。そういう事ならご協力させていただきます」
玲奈は幾つか質問する事にした。
「聡美さんがいなくなる前に何か変わった事とかありませんでしたか? 些細な事で結構です」
「うーん……特に気付きませんでしたね」
「そうですか……。では、聡美さんの周辺ではどうでしょうか。誰かに恨まれてたりとか、そう言った事とかは……?」
「何もないと思いますよ。木崎くんは好かれるタイプでしたので」
「そうですか。どうもありがとうございます」
玲奈は会釈をすると、校舎内を回った。
聡美の教室で聴き込む。
「聡美? そう言えば一昨日から学校に来てないですね」
「聡美さんの身の回りで何か不審な事は無かった?」
「そう言えば、渋谷で切手を買うって。切手ならコンビニで買えるのにって思って不思議な感じがしました」
「そう。ありがとう」
「聡美、見つかるといいですね」
玲奈は学校を出た。
胸ポケットに手を入れてタバコの箱を取り、煙草を出してライターで火を点けてフィルターから煙を吸う玲奈。
(さっき話に出て来た切手。たぶんそれは……)
覚醒剤だろう。
覚醒剤を切手と呼ぶ事がある。
恐らく、聡美は覚醒剤を渋谷で買うつもりだ。
玲奈は渋谷へと行く事にした。
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