私立探偵黒崎玲奈
@daisykatsura
1.人捜し
第1話
彼女の名は、
事務所の扉が叩かれる。
玲奈は
ドアの向こうに居たのは、
「依頼かしら?」
「うん」
「中に入って。詳しく聞くわ」
玲奈は少年をソファに座るよう促し、お茶をテーブルに置いた。
「それで、依頼というのは?」
「僕の双子の妹がいなくなったんです」
「いなくなった。いつ頃の事?」
「一昨日、学校から帰ってきて、遊びに行ったきり戻って来ないんです。普段なら、遅れたり泊まったりする時は連絡を寄越すんですけど……。妹に何か
「あなたの名前とご年齢は?」
「あ、申し遅れました。
「聡くん、親御さんはいないの? 見たところ、まだ高校生くらいでしょ?」
「両親は小さい頃に亡くなって、今は僕が家計を切り盛りしてるんです」
「ということは、働いてるの?」
「ええ。アルバイトですけど、二人で暮らすには十分です」
「学費は?」
「奨学金を使ってます」
「妹さんの名前は?」
「
「わかった。全力で捜すわね」
「ありがとうございます!」
「とりあえず、お家の中を見せてもらえるかな? もしかすると、失踪の手掛かりが部屋に残ってるかもしれないし」
玲奈と聡は立ち上がると事務所を出た。
玲奈は聡の案内で区内にある木崎家へと足を運んだ。
「ここが僕の家です」
鍵を開ける聡。
「どうぞ」
玲奈は部屋に上がる。
「こちらが聡美の部屋です」
聡が示した扉に『聡美』と書かれた札がしてあった。
「じゃ、調べさせてもらうわね」
玲奈は部屋に入った。
部屋の隅々を調べる玲奈。
机の上にコンセントへ繋がった携帯の充電器があることから考えると、聡美は家出をするつもりはなかったと
机の
日記帳を最近のものに絞って調べてみる。だが、失踪の手掛かりとなる書き込みはなかった。
他のところも調べてみるが、特に手掛かりはなかった。
部屋の捜索を終えた玲奈は廊下に出た。
「どうしでした?」
「手掛かりはなかったわ」
「そう……ですか」
「聡くん、聡美ちゃんの写真ある? 部屋には一枚もなかったからさ」
「僕の部屋になら」
聡は自分の部屋に入り、写真を持って出て来た。
「これです」
写真には少年と少女の二人が写っている。右が聡で左が聡美だ。
「この写真、預かるわね」
「はい」
玲奈は聡に見送られながら木崎家を出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます