エッセイというのは、詰まるところ日常の切り売りですから、平穏に生きてきたサラリーマンの日常より、なるべく刺激的な背景を持った人のエッセイの方が面白いのに決まっています。
特に法律に守られていない人たち、たとえば暴力団員とか泥棒とか、とんでもなくヤンチャな人の武勇伝とか、インモラルな人たちのスリリングな日常を活字にして覗き見るのは、いつの時代も面白いものです。
そういえば、直木賞作家の浅田次郎も、かつて売れない頃は極道エッセイストに身をやつしていました。
この作品もご多分にもれず、アダルトかつ、ハイリスクハイリターンな、スリリングな業界のお話しです。普通、こういった水商売の裏話などを読みますと、「闇金ウシジマくん」のコミックスをまとめ読みしたかのような、後味の悪い、嫌な気分にさせられるものですが、この作品に限っては、なぜか清々しい読後感があります。
作者は夜の世界に身を置きながら、理性と良心を失わず、 一人の親として、売春を決して美化するようなことはしません。むしろ警鐘を鳴らしています。
風俗嬢たちは、作者のご指導のおかげもあってか、風俗を卒業後、それぞれの幸福をつかみます。
この作品は見事に女性のしたたかさ、強さも弱さも描いています。
まったくもって余談ですが、私も宝塚記念を外しました。
ドゥラメンテの頭以外は考えていませんでした。
勝ったのはまさかの牝馬、マリアライト。
人も馬も、女が強い世の中ですね。