大人の身勝手に振り回された少年のお話。救いを与えるのであれば、息子ではなく自分でやれば良かったのに。最後にあんなことを言うくらいなら、最後まで悪役になりきってくれれば良かったのに。彼は確かに英雄でしたが、どうしてもそう思わずにはいられません。
短編ながら物語に詰められた情報量が多く、壮大な叙事詩を読み終えたような満足感を味わえる作品です。物語に無駄な部分がないため、この短さでもそれぞれの人物像がしっかり立ち上がってくるところに作者の高い力量がうかがえます。もっと続きを読みたくなるような、そんな気にさせられる一品でした。
構成が素晴らしいです。短い中にも張り巡らされた伏線とその回収。ラストまで流れるような鮮やかな展開に惹き込まれました。中編あるいは長編でも充分に楽しめる作品だと思います。
終盤、畳み掛けるように分かっていく関係性やからくりが、優しさと切なさを与えてくれました。革命とはかくも切なく、重い業を背負うことになるのですね・・・しかし重苦しさはなく、優しく読ませてもらえました。素敵な作品ありがとうございます。
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