やられた!落語か……良いな、喰っていいかな
私も帰ってきたテストを見て??と首をひねりました。なんで答えはどちらも6なのに3×2ではだめなのか。まさしく太郎君とお父っつぁんのようなやり取りをしましたが、釈然としないまま、今はそんな風に教えるんだ~と思ってました。しかししかし、そんな風なんだ~で済ませないのが山本弘。さすがです。答えに納得のいかないお父っつぁんと絶対にゆずらない先生とのやりとりを実に軽快軽妙な落語に昇華させています。この落語シリーズもっと読みたいです!!!
物議を醸した小学校の掛け算の順序問題をテーマに繰り広げられる本作は、落語の体裁を拝借し笑いへと昇華させつつ筆者の主張がしっかりとなされる。父親と先生による次第にエスカレートする掛け合いの下りはいくつものくすぐりを交えつつ、読み手にこの問題の馬鹿馬鹿しさを鮮やかに見せつけてくれる。まあしかし、ある意味では笑えない短編とも言える。酢豆腐と掛け算の順序問題は一口にかぎるということで。ちきてんちきてん。
面白かったです。落語としてしっかり落ちが用意されていますし、内容もただの掛け算ではなく、現代の教育の問題点について書かれており、考えさせられました。カクヨム新ジャンル、“落語”の創設も見えてきました(笑)
こうしたテーマを語るのに落語が適しているとは、目から鱗でした。徐々にヒートアップしていく先生と父親の掛け合いが見物です。