これぞ、待ち望んだSF!と思ったら40年前の小説だったなんて思わなんだ。ビートルズを聞いて。「こいつら絶対売れるわ」と得意気になってレビューを描いてる気分。ファッションや建築業界で良く言われている言葉がある。流行は繰り返すと。君の名は。やゴジラのヒットが今年は世間を賑わせた。小説も今年、一つの転換期を迎えている気がした。
スポック役をレナード・ニモイが演じた古きスタートレックみたいな感じです。同時代にスターウオーズがリアルタイムで上映されていたので、アクション好きはスターウオーズに靡き、アクション以外のプラスαを重視する者はスタートレックに靡きました。私のように、宇宙空間の特撮が見れれば構わないという者は、両方を見ていたのですが...。ところで、私には、この作者の「星の舟」の方が、ストンと落ちます。皆さんも読み比べてみてください。
宇宙を巡るSFは多々あれど、星を生み出す……ましてや太陽を作るなんて話を目にするのは今回が初めてでした。星を作り出すのに必要な物質や原理、宇宙科学の髄が凝縮された濃厚な一品でございました。そして敵を撃破した時の説明も努力や根性ではなく、SFらしい科学反応が働いたというオチが一作のSF感をより重厚なものに仕上げているのが素晴らしいです。
やってることのスケールはデカいですが主人公のやりたかったこと、成し遂げたかった事はぶっちゃけ「自分の庭が欲しい」ですよね。そこがまた味があってよい。半生をかけて作り上げた庭園と、そこを照らし出す太陽。それがもたらした最後の結果がまた痛快なのです。