第3話 あなたは誰

優衣の一人暮らしの1Kのアパートに親友の林麻由美(25)が尋ねる。優衣はノックの音を聞いて、ドアを開ける。

「優衣!えっ、ちょっとっ、大丈夫!?」

   麻由美は優衣の額と左手の包帯を見て言う。

   優衣の部屋の中、隣同士でお茶を飲む二人。

「びっくりしたー。今週はこっち帰るよってメールしたら“今日退院”って、言ってよ!知らない間に事故って入院って。もう大きな傷害が無くてほんとよかった。」

 (まゆの仕事場遠いから ほんとにたいした事ないよ。 忙しくなかった?)

 「そんなに。ただ最近夜勤多くてね~。それより犯人まだ捕まってないんでしょ?人が倒れてるの見て逃げるなんて信じられない。」

(さすがナース)

「ふふっ、(お茶を置く)優衣の相談って事故関係?PTSDとかあったりする?」

  優衣はあらかじめ書いておいた、大きめノートを取り出してページを捲る。

(病院で会った、治療手伝ってくれた人が連絡先くれたの。会えますかって)

「(ハッと息を呑む)すごぉい!どんな人、看護士!?」

(研修医の人で、一個違い。だからお医者さんに見えなくて、なんか男の子って感じ)

  優衣は次のページを開く

(からかわれてる?)

  麻由美は訝しげな顔をする。

「って、そんな感じの人だったの?」

  優は首を振って新しく書き足す。

(全然 一途そうに見えた だからこんな事するんだってショッ)

「ちょっと待って、何か決めつけてない?相手も立場があるんだから多少勇気いったと思うよそれ。」

(決めつけてないよ、もしかしたらって思ってる。神様のごほーびかもって。でも病院にきれいなナースの人とかいっぱいいたし、その人モテそう)

「えー、クールな感じ?」

(天然な感じ)

「あはははっ!うん、じゃあ取り合えず連絡しよ、。それで会ってまた考えればいいじゃん。どこ?連絡先どこ?優衣の携帯は?」

  テーブルを叩いて急かす麻由美。


病院内で竹下は昼休憩に入って、携帯をチェックすると。タイトルに西原優衣と入ったメ―ルを見て、誰もいない会議室に入ってからメールを開いて読みあげる。

竹「“こんにちは。こないだは色々お世話になりました。おかげで順調に回復しています。相変わらず忙しいですか?夏バテには気を付けて下さい。”


読んだ後息をつく


「…ばんざい。」


麻由美の自宅優衣と麻由美が自宅で話す。

「で、どうだった!?初デート!」

(ちょっとお茶しただけ。でもゆっくり話

してくれるから、思ったより気まずくならなくて楽しかった。書いてる間もゆっくり待っててくれて。)

「きた!ついにロマンスが!どんな事話したの?」

  麻由美は感動する。

(入院してた時の事とか)

「また会うの?」

(映画行く約束した。)

「順調じゃない。あーぁうらやましぃ~家の病院の医者なんてみんな女遊びばっかり、医者はもてるから。」

(他に人が居て珍しがられたらどうしようって思った。よかった。)

「まだ河田の事気にしてるの?そういえばまだあいつと連絡取ってる?」

(うん、色々助けてくれる。子供も生まれた生まれたよ。)

「えー、あいつが父親なんて信じられない。まぁ役に立つんならいいけど、あたしもしっちゅうこっちに居るわけじゃないし。それよりさ、もう付き合っちゃいなよその医者の彼とっ。どう思ってるの?」

  優衣は少し考える。

(たぶん誠実な人だと思う。まゆは何処から自分が相手のこと好きって気付く?)

「うーん、やっぱり気付いたら相手のことばっかり考えてるって時かなぁでも思い込み時も多いし。そういえば昔心理学の教授が言ってたんだけど、みんなどんなに相手の事を好きって言っても相手のどこが好きかって聞かれたら殆どの人が3~4個位しか答えられないんだって。だから、10は言えるまで愛だの何だのほざくなって。」

  麻由美の部屋のドアがノックされて麻由美の妹・林薫(25)がおかしを持って入ってくる。

「優衣ちゃん久しぶり、怪我はもう大丈夫なの?」

  優衣はピースサインをして見せる。

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