第9話 エピローグ

だいだいはな』発売から1週間が過ぎた、9月30日。

その日都内の大型書店で開催されたトークイベントは、応募定員にほぼ達し、盛況のうちに無事終了した。


イベント後のファンとの交流がひと段落した頃、同行していた担当編集者の片岡かたおか詩織しおりが探るような目で僕を見た。

真白ましろさん、そろそろ教えてくれてもいいんじゃないですか?」

「何のことでしょう?」

「とぼけないでください。どうやって消えたアルを元に戻したんです?」

僕はアルが『外』に出ていたことを彼女にも黙っていた。信頼できる担当者だからこそ、知らせない方が良いと思ったのだ。

「こうして無事に読者の手に渡ったことですし、今回のことはもういいじゃないですか。結果オーライということで・・・」

「私がどれだけ肝を冷やしていたか、先生、分かってます?!」

これは、本気で怒ってる。まぁ無理もない。

「本当に申し訳なかったと思ってます。詩織さん、お腹空いてません?パンケーキご馳走します、生クリームの乗ったとびきり美味しいやつ!」

「食べ物で簡単に釣られると思ってもらっては困ります。行きますけど。」


少し急かされながら、賑わう書店を後にした。


**********************


「スノーマン@9/30行って来ました!

:新刊のアルの鞄、ちんあなごのストラップついてない?www

鏡先生お茶目ですねwww」

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シークレット・ジャーニー 清水円 @Mondenkind

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