幽月邸の夜 ~La dimenticanza~

作者 汐凪 猗綺子 (シオナギ アキコ)

45

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★★★ Excellent!!!

 主人公の男性が自分の大切なものを取り戻す物語。
 主人公は満月の夜だけに「幽月邸」に行けば大切な物を取り戻せるという都市伝説を頼りに、その不思議な建物を目指す。その途中、これもまた不思議な少女と行動を共にすることになる。二人はお互いに大切なモノを探し始めるのだが……。
 誰もいない幽月邸で鳴り響くピアノ。意味深な写真。ミステリアスな建物の構造。いつしか「大切な物探し」が反転し、「大切な者を探されていた」ことに気が付く時、幽月邸は本当の姿を現す。
 果たして、主人公の大切な物は戻って来るのか?
 謎多き少女の正体とは?
 幽月邸の本当の姿とは?
 楽器の音の表現が豊かで、静謐な作品に彩りを与えている。作者様の音楽や楽器に対する造詣の深さが読み取れる作品。
 是非、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

ヴァイオリンを愛する少年、響が出会ったのは、
名前以外を忘れた美少女、音葉。

響は、願いが叶うという噂にすがって幽月邸を訪れるが、
同行した音葉は、どうやらこの館にゆかりがある様子。

音葉の正体は?
ヴァイオリンが奏でるモーツァルトは?

指輪を探せと告げられて、幽月邸を探るうちに、
真相が明かされていく。

どこか幻想的な悲恋の叙情曲。
その最終楽章が、百余年の時を経て、晴れやかに奏でられる。

★★★ Excellent!!!

 短いながらもギュッと詰まったお話で、先の展開を気にしながら一気に読ませていただきました。

 一日の出来事に込められた甘酸っぱさ。二つの側面から、青春を過ごした登場人物たち。謎を匂わせる冒頭の雰囲気から、終わりまで突っ走って読むことをオススメしたい作品です。

★★ Very Good!!

音楽を題材にした小説を書いているので、作品を純粋に楽しむだけでなく、こういう絡め方があるのか、と勉強にもなりました。いやほんと、ファンタジー作品だしクラシックはちょっと知ってるだけだからと、適当に書いてるだけですからね、私は。曲や演奏の表現がいいな、と思いました。

★★★ Excellent!!!

 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ

 川の流れが速いので、岩にせき止められる急流がふたつに分かれても,、いずれはひとつの流れとなるように、今は離れてもいつかまた逢えると思っている。

 小倉百人一首の恋の歌です。この物語のふたりはまさにこの歌のよう。愛は時を超えて永遠に、なんて言葉が本当でありますようにと願ってしまいます。

 モーツァルトのソナタが切なく響きます。まるで本当に聞こえてくるよう。心で泣きました。その涙は私の心に沁み込んで豊かな土壌となることでしょう。心が栄養不足の方におススメの清く純粋な物語です。

★★★ Excellent!!!

とてもきれいな物語でした。
音楽と館のイメージが重なりあって絶妙に融け合っていたように思います。ホラーのイメージに偏ってしまった自分が恥ずかしくなるほどの、優しい物語でした。

音楽と登場人物との関わりも密接で物語に説得力を生み出していたように思います。あたたかい終わり、心地良い読後感。

★★★ Excellent!!!

プロットプロジェクト参加作品。

ジャンルはホラーだが恐怖要素はあまりなく、普通にいい話で意表をつかれた。こんな話は卑怯だ! 泣いてしまうだろうが!
あとこの作品は話がいいだけではなく、小説としてクオリティが高いところもプラスですね。シンプルな構成に加え展開のテンポもいいので、読み進めるのが楽しかったです。これを短期間で書き上げるとは、感服しました。

本作は楽器と音楽がメインとなっており、ジャンルは違いますが毎日楽器に携わっている私としては、とても親近感が湧く内容でした。楽器好き音楽好きは是非読んでみてください!

★★★ Excellent!!!

ホラーだが、血も凍てつくようなタイプのホラーではない。
静かに祈りたくなるような、静謐で綺麗なホラーだ。

特筆すべきなのは、要件の1つにあった『音楽』を見事に書き上げている部分。
音楽をこうも印象的に活かせているのは、この作者さんならでは。

失ったものを取り戻したのは誰か。
その美しい結末を、最後まで見届けて欲しい。