第7話 休みの日
昨日は散々だった。嫌がらせはされるし、授業もまともに聞けなかったし…。
まぁ、あんなやつの授業なんて聞きたくはないけれど。
今日の授業は休みだ。休日は特にすることがないので、売店で買った新聞をゆっくりと読んでいた。凹凸を感じ取る良い練習になる。
ペラペラと読み進めていくとあっという間に時間が過ぎる。時計を見ると11時半を指していた。
昼か…。飯でも食いに行くかな。
俺は新聞をベットに置き、少し身支度をする。その途中でジャックが訪ねてきた。
「おーい、ブランク。飯食いに行かねぇか~?」
「ああ。ちょっとまだ時間かかるから部屋に入ってくれ。」
身支度するのには慣れたけど、どうしても他の人に比べると遅い。
普段は朝早く起きて支度するが…。
たまの休日だ。こういう日は寝過ごすに限る。
「おお。じゃあ邪魔するぜ~!」
カツカツと入って来る。
「相変わらず整理してあんな~。テレビとかも置いてあるし…。」
「ああ。テレビは音があるからな。グラント隊長にお願いしたんだ。」
音で情報が入るのはとても重要な事だからな。階級特権で付けてもらったのだ。
ジャックはソファに座り新聞をガサガサと読み始めた。
「うん。こんなもんか…。」
身支度が済んだ俺はジャックの所へ戻る。
「おい。ジャック。食いに行くぞ。」
「おう…。今行く。」
二人で食堂へと向かう。
「そういや、昨日のオール…何とかってやつのその後知ってるか?」
「ああ…。昨日の奴か。」
昨日のぶん殴ったやつだ。聞かなくても想像はつくけれど…。
「なんか、1週間は絶対安静っつてんだけど、本人が聞かなくてよ。医務室で手を焼いてるそうだ…。」
「やっぱりか…。」
あのガキ大将の事だ。俺を倒さないと気が済まんのだろう。
「と。ここだな。」
この食堂はちょっと偉くないと入れない特別な所だ。准士官以上…。即ち、一等准尉以上でなくてはならない。
「カードを見せてくれますか…?」
入り口の男が聞いてくる。
この基地内では自分のカードが配布されており、その階級などで入れるところや、そうでないところが出てくるのだ。
「はい。これです。」
二枚合わせて出すとその両方を確認し、不器用な笑顔を見せた…。
「はい。結構です。どうぞよろしくお通り下さい。」
この食堂は見晴らしが良く、バイキング形式な為、男にとっては言うことなしな食事処だ。
「おお。ありゃあ最新型の戦闘機じゃねぇか。カッコイイなぁ~!」
ジャックが興奮している。
そう。見晴らしというのは戦闘機の離着陸がみられる…。という事である。
ただの風景に男どもが騒ぐわけがない。ジャックみたいなマニア向けの所だ。
好きな食材を取り、窓際の席で食事をする。
「いや~。しかし、偉いっていうのは良いもんだな。あんまり階級とかを気にしないもんだが…。これは大きいよなぁ~!」
お前の場合はメシより戦闘機って感じだが…。
「そうだな…。」
ココはお偉いさんが来る所…。
即ち、あのハゲが来る可能性が…。
「これはこれは。レイブンのホープ二人組ではないか。」
なんなんだ。この人は。いつもいつも、見切ったかのように現れる。
「「チッ…。」」
小さく打った舌打ちがジャックと被る。
「アレン大尉。なんのご用でしょうか?」
ジャックが仕方なく敬礼をして聞く。
一応上官だからな。仕方ない。
「いや…。用はないが…。これも何かの縁だ。一緒に食事でも如何かな?」
クソッ…!3人席じゃなくて二人席にすりゃ良かった…。見晴らしが良いからここを選んだが…。
「ああ…。えーと…。」
断れない。だが、休日位はこいつの顔を見たくない…。
そこで、タイミング良く、
「ああ~!ジャック君とフェルメール君じゃあないか!?」
そこで現れたのはバークレイ中佐だった。
あのジャックとひたすら銃について語り続けた…。
バークレイのは今の状況を読み取ったのか、フレンドリーに言った。
「いや~!遅くなってごめんね。研究が長引いちゃってさ。ここ、座るね?」
素早く席を取り、約束してました。と言わんばかりの表情だ。
ナイス!やっぱり良い先生だ。
「すみませんね。アレン大尉。そういう事なので…。」
ジャックが申し訳そうな顔をして謝る。
「……。いや、気にするな…。」
そう言って立ち去った。
「いや~。すみません中佐。助けてもらっちゃって。」
「そんな気にしなくて良いよ~!僕もあの人は苦手でね…。それに君達と話し合いたくてね!」
話す前から興奮してるじゃないか…。
夕方までマニア達の談義は続いた。
まぁ、俺も参加して、楽しかったけれど。
盲目のスナイパー クロム @kuromu7
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