ひまわり
夢時計
第1話
たいようのひかりをいっぱいあびて、
おおきな、おおきなおかあさんからうまれたボクたち。
たくさんのきょうだいたち。
いつまでも、きょうだいたちといっしょにいられるとおもったけど、
とうとう、おわかれの日がきたようです。
みんなとばらばらになっちゃうのはかなしいけど、
おかあさんみたいな、りっぱな花になって、
また、みんなに会えるといいな。
8月のおわり。
ボクは、小さな女の子とであいました。 「あーちゃん、このおはなそだてる!」
おひさまのようなえがおがまぶしい女の子。
ぼくは、この女の子に育ててもらえるようです。
あーちゃんは、毎日、゛ようちえん゛というところに、行っています。
ようちえんから帰ってると、かならず僕のところに来て、いろんなお話をしてくれます。
お歌をうたったこと。折り紙で遊んだこと。
今日は、お友だちとかくれんぼしたことをお話してくれました。
「タネさんもかくれんぼしてないで、早くでてきてよー!」
そうだね。つちの中は、暗いから早く外に出たいよ。
あーちゃんによろこんでもらえるように、早く大きくなるぞ!
それから、夏のお日さまや、ミツバチさんにもあいさつしなきゃ!
それから、すこし時間がたって、僕はようやくつちの中から出てくることができました。
まだ小さいフタバだけど、これからもっともっと大きく大きくなるぞ!
ちょっぴりすずしい風が吹いてるけど、僕はむねをはってあーちゃんの帰りをまちました。
ちかごろ、あーちゃんが僕のところに来てくれないから、
今の僕をみたらきっとあーちゃんビックリするだろうなぁ。
早くあーちゃん来てくれないかなぁ。
なんて思っていたら、上から、お水がふってきた。あーちゃんがお水をくれたのかな?と思ったけど、なんだかちがう。
なんか、しょっぱい。
上を見上げると、そこには、あーちゃんのお母さんがいました。
「やっと芽がでたのね。あーちゃんにも、見せてあげたかったわ」
見せてあげたかった…?
「あきちゃん、死んじゃったの3日前に」
……。
「…今の時期に種を蒔いても、花は咲かないわね」
そういいながら、あーちゃんのお母さんは、僕に水をくれました。
僕は夏に花を咲かせます。夏の終わりに、種を蒔いても、大きくなることはできません。
空を見上げると、夕焼けがすごく赤くて、赤トンボさんが飛んでいました。
夏のお日様も、ミツバチさんも、いませんでした。
僕は頑張りました。それでも頑張りました。
お空の上のあーちゃんに、花になった僕を見てもらおうと。
でもダメでした…。
あれから、すこし時間が立つと、僕の葉っぱは、くしゃくしゃになって、どんどん黒くなって、もう、立っていることが、できなくなりました。
僕もあーちゃんのところに行くみたいです。
お空のきれいなところで、あーちゃんの隣で、花を咲かせられたら、いいなぁ。
まっててね、あきちゃん。
ひまわり 夢時計 @Yumedokei
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