第3話 有効的利用方法

数秒後、どうやら完成したようだ。

「無事完成しましたね。それでは152番の引き出しへどうぞ。」

言われるがまま、引き出しを探す。

152番・・・あった。

目の前に立つと、自動的に開いた。

中にはしっかりとAK-47が入っている。

「どうぞ、手にとって使ってみてください。」

持ってみると、想像していたよりもずいぶんと軽かった。

エアガンやモデルガンと同じかそれより重いくらいか。

でもやっぱり、ズシッっとくる重さは銃を持っているという気分にさせてくれる。

「試し撃ちの際は向かいにある射撃場をご利用ください。」

なるほど、あそこの意味はこういうことか。


撃ってみることにはしたが、本物の銃なんて一般人が扱えるようなもんじゃない。

反動で肩が崩壊するはず・・・。ただせっかくだから、どんなものか見てみたい。

私は恐る恐る引き金を引いた。

カチッ

ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ!

撃てた。しっかりと弾は向こうの標的へと飛んでいった。

反動も驚くほど弱い。

弾は反動を考慮していたために、標的の胸元に穴を開けていた。

一瞬、これはエアガンなのではと疑ったが、足元に落ちている薬莢がそれを否定した。

つまり、これは威力はそのままに反動を弱めた素人も扱える銃ということだ。

・・・なんだそれヤベェ・・・・。


「どうですか?不備があれば今後の参考にさせていただきます。」

いや、特にはない。 ・・・今後?

「我々は自動的にアップデートをいたしますので、その参考に。」

はぁ・・・さいですか・・・。

「満足していただけてなによりです。ずっとお待ちしていた甲斐があります。」

お、おぅ。

「あと、製作したものはそのまま所有させても構いませんし、こちらで処分することもできます。」

あぁそうか、たしかに今持っていても不審がられるだけだな・・・。

もったいないが今はいらないな。

「でしたら、シャッター横の回収ボックスにどうぞ。入れる際は弾倉ははずしてください。」

そういえば確かに暗証番号のヤツの下にレバーがあったな。


レバーを引くと斜めに引き戸が開く。中は暗くて見えないが大きな空間があるように思える。

銃を中に放り入れると、暗闇に吸い込まれていった。音は何も聞こえない。

「では最後に、お渡ししたいものがありますので、タッチモニター前へお越しください。」

タッt・・・あぁ、真ん中の画面ね。


「では、以上で簡易的ですが解説は終わりです。わからないことがあればその都度ご案内いたします。」

あぁ、どうも。・・・あれ、渡したいものって・・・。

「はい、まずはこれをお持ちください。」

すると、画面の下から引き出しが出てきた。 ここにもあるのか・・・。

中には、小型の画面がついた機器、スマートフォンに似たようなものが出てきた。

「それは、持ち運び可能な小型リモコンとしてお使いいただけます。」

横の起動ボタンを押すと、見覚えのあるホーム画面。さっき見たやつ。

「それがあれば、どんな場所からでも荒神の盾を使用できます。」

リモート機能付ねぇ、そら便利だ。

「では、お渡しするものなのですが」

あ、これじゃないんだね。

「こちらになります。」

今度は画面の後ろ側から引き出しが斜めに開く。そこもあるんかい。

中には・・・刀が二刀。

「それは、我々を作った方からのマスターへの贈り物です。」

この機械を作った人・・・。というかなんで刀・・・。

「あぁ、それらは解体できませんのでどうぞお持ち帰りください。」

マジかよ。ただ、かっこいいな。

なるほど、じゃぁ有難く貰っておくことにする。

そう言いながら、二刀を両手で持った。

その瞬間、手に電気が走ったような感覚を覚えた。

私は慌てて手を離したが、なんともなかった。手は熱を帯びてはいたが。

気のせいだったのだろうかと、もう一度刀を握る。今度は何もなかった。

やはり気のせいか、あの静電気のような痛み・・・。


私は、刀と携帯端末を持って地上へと戻った。

外はすっかり夕暮れ時となっていた。倉庫の整理はまた明日しよう。

倉庫の戸を閉め、家に戻った。

さて、あの機械・・・どうしようか。このまま放っておくわけにも・・・。




青年はこの時、とてつもない力を手に入れたことをまだ理解できてはいなかった。

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柱の盾 てぃーだ38 @td38

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