第10話 帰宅!

<キラキラキラキラ…>


“お茶会の部屋”に光輝きながらブロインが姿を現していく。


<スタン!プシュウゥゥ…>


 ブロインは地面に降り立ち膝まづくと、背中を開いた。中からみーなとアンドリューが顔を出す。


「プッハ!たっだいまーッ!」


<どん!>とアンドリューの体に今までの10倍の重力がのし掛かる。


[ぐぉッ!つ…潰される…!]


「ちょっと大丈夫?アンドリュー!?」


[辞めたとはいえアントアネットの兵士!これくらいは大丈夫だ…!]


 アンドリューはよろめきながらみーなにそう言った。


<ウィーン、カシュウ>


 ブロインは背中を閉じるとスクッと立ち上がった。


「みーな様もお疲れ様でございます」


「みーなね、ブロインと合体した時に、ブロインのこと全部わかったよ。あのさ、みんなによろしく伝えといてね!“ありがとう”って!

あとさ、ラブ❤ラブ❤ハートフルアタックの光の色はピンクだからね!」


「かしこまりました」


「よし!じゃあみんなで家に帰ろー!」



ーーーーーーーーーー



「ふんふ~ん♪」


マチコがキッチンで料理を作っている。


<ガチャン!バタン!ダダダダ…!>


「マーチコーッ!たっだいまー!帰ったよーッ!おなか減ったぁーッ!あのねー!今日ねー!」


[みーな…!もうちょっとゆっくりで頼む…!う、動けん…!]


「おやおや“アント”の友達かい?この星の重力はキツいだろうに。ほら二人とも、手洗っておいで!」


「うん!アンドリューって言うの!ねぇ、アンドリューしばらくお家に居てもいい?」


「それはよござんす」


「ありがとうマチコ!アンドリュー、マチコだよ!」


「マ…マチコ殿…こんな失態で申し訳ない…よろしく頼む…」


「しばらくは体が慣れるまでゆっくりしていきなさいなアンドリュー。ブロインもお疲れ様だったね。おまえも手を洗って席に着きなさい」


「了解した」


 3人は洗面所で和気あいあいと手を洗うと、リビングに向かった。

 テーブルにはみーなの大好物達が並んでいる。


「きゃーッ!マチコすごーいッ!」


「ふふふ…今日はみーな様の色々記念すべき日ですからね!

みーな様」


「え!なぁに?」


「誕生日、おめでとうございます!(にっこり)」


「マチコーッ!ありがとうーッ!」


 みーなは飛び付いてマチコに抱き付いた。


「さぁさぁ、みーな様の英雄鐔でも聞きながらお食事でもしましょうか!」


「そうそう!今日ね!…」


 その日、みーなのお誕生会は夜遅くまで賑わい、みんなでプリクゥアのDVDを見たりして過ごした。


想念領域イディアフィールド内にて”


<ボガリア>

「改めてみんな、ご苦労だったな。みんなも聞いたと思うが、みーな様からねぎらいのお言葉をいただいた。

 みーな様は、初めてのイディアパワー解放で初めてのイディアホールを抜け、初めての惑星で友達を作り、初めての任務をほぼ一人で完遂させた歴代で類を見ないお方だ。

 通常、“ブロイン”の操作は徐々に慣らしていくものだが、みーな様には必要が無さそうだな。

 これからも通常通りみーな様のサポートに回ることにする。異論はないな」


<ルーシー>

「うむ、あの技のセンスには舌を巻いたな」


<パディ>

「あの時のボガリアのびびりっぷりったら美しくなかったね!」


 パディはまた裸で躍り狂っている。


<ボガリア>

「今まで補佐の補佐に徹していたキャロラインにまさか助けられるとはな…」


<キャロライン>

「えへへッ!今度の宗主様とは特に気が合うみたい❤」


<ユーリ>

「良かったねキャロライン。僕も今度の宗主様は特に好きだなぁ。今までは“身を守る”為に仕方なく相手を傷付けたりしたもんね。ナノマシンにあんな使い方があったなんて」


<ラモル>

「うんうん、可愛らしいわ。今までいなかったタイプよねぇ。ただユーリ。わかっていると思うけど、“ナノマシン”はともすれば相手を“洗脳”しかねない諸刃の剣だから慎重にしないといけないわよ」


<ユーリ>

「わかったよ母さん」


<ラモル>

「あぁユーリ!そのちょっとしょんぼりした“母さん”もたまらないわ!」


<ルーシー>

「ふふ…私も久しぶりの外の世界に少し興奮したようだ」


<ボガリア>

「いや、ルーシー。本当にあの時は助かったよ」


<パディ>

「し、し、し、」


<ユーリ・キャロライン・パディ>

「知らーんッ!<プルプルプルプル>(ボガリアの真似)」


<ボガリア>

「ぐ…ぐぬぬ…!みんな!明日からみんな、“ラブ❤ラブ❤ハートフルアタック”の練習だからなッ!」


<ルーシー>

「先程見たDVDから似たような技が出ていた。スキャンしておいた方がよさそうだな兄さん」


<ボガリア>

「あ…あぁ…そうだな」


<キャロライン>

「きゃー!やったぁ!あれ面白かったもんね!」


<ユーリ>

「良かったねキャロライン」


<ラモル>

「ねぇ!みんな見て、あのみーな様のお顔…」


“ブロイン”の目から入った情報は巨大モニターに写し出されていた。そこには満面の笑顔を見せたみーなのアップが写し出されていた。


ーーーーーーーー


「そうそうみーな様」


「うん?なぁにマチコ?」


「ブロインの鼻を押してくださいまし」


「え?ブロインの!?なんかやだなー」


「大切なことですので」


「そうなの~?えいッ!」


<ポワン>


 ブロインの頭の上に数字が光となって浮かび上がる。


「+《プラス》300P、残り-《マイナス》51,254,785,425,632,154,297カルマ?

なにこれ?」


「これは劉家が有史以来重ねられてきた負のカルマを数値化したものです。

劉家はその血筋から骨肉の争いでこの世界に君臨していました。しかし、その影響力の高さゆえに様々な“負のカルマ”を生み続けてきたのです。

 みーな様の使命はこの負のカルマを無くすこととなります。


 みーな様、

 みーな様は素晴らしい御方です。このマチコ、惜しまない愛情と共に手塩に掛けて育ててきました。

 だから、みーな様が『嫌だ』とおっしゃるなら、この“使命”、破棄しても構いません。いかがなさいますか?」


「う~ん。

 嫌じゃないかなぁ?“負のカルマ”ってようはパパやおじいちゃんやひいおじいちゃんとかずっと昔からのことでしょう?

 だったらみーながキレイにしないと!それにみーなね、ゴンスやアンドリューみたいなお友達、たくさん増やしたいんだ!」


「みーな様…」

 マチコの目に涙が溜まる。


「…ちなみにみーな様が今日行かれた惑星はレベルE-7。最下層のランクです。

 ランクが上がるごとに惑星環境は厳しく、問題は複雑化していきます。

 一切修業無しで惑星クリアを成したみーな様ですが、これからはそうもいきませんよ。


 それでも…それでも『宇宙平和』をなさいますか?」


「うん!みーなね!きっと大丈夫だと思うよ!だからがんばるわ!」


「それはよござんした」


 そう言うとマチコはにっこり笑った。


「さぁさぁ!今日はこの辺りでお開きにしましょうか!さっ!みーな様とアンドリューは歯を磨いてお風呂に入りなさい」


「え~!はぁ~い。いこ!アンドリュー!」


[ぐ…みーな殿…待っ…]


<カチャカチャ…>

 食器を片付けるマチコの目には深い決意が宿っていた。




 この後、みーなの母親は〇〇だったり、マチコが〇〇だったり、ボガリアが〇〇なったり、みーなも〇〇なったりするのだけど、それはまた次からのお話です。新しい惑星でのみーなとみんなの活躍をご期待してください!


to be continued…

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ビギナーズ! 優和 @yuuwa

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