学校にテロリスト。だがテロリスト視点だ。

ミレニあん

もし主人公がテロリストだったら……?

 俺はテロリスト。

 仮にAと呼ばれている。


 何でいきなりこんな自己紹介だって? 

 それはお前、今から俺達テロリストグループがある高校を占拠するからだ。


 何で学校なんだよ? 普通国会議事堂とかだろうって思ったさ。


 一応理由があって「この学校には政治家の子供がたくさんいるから、占拠するならこちらの方がしやすい」ってリーダーが言うのだけど、はっきり言おう。メリットなくね?

 つうか学校にテロリストって、ガキの妄想じゃないんだからさ……まぁ、言ってもしゃーないか。


 とりあえず俺達は学校の中に入って、教室にいる生徒と教師に銃を向けた。


「動くな!! 手を挙げろ!!」


「何だあんた達は!! くそっ!!」


 イケメンな男子が抵抗しようとこっちに来た。

 死ぬ気か?


 結果、イケメンは仲間によって射殺。まぁ、そうなるわな。


萩野はぎの君が!!」


「萩野君!!」


「うう……」


 何か女子達が泣いちゃっているようで。

 多分人気者だっただろうな。

 

 まぁ、俺には関係ない。仕事仕事っと。


「よし、全員体育館に来るんだ!! ……ん? お前可愛いじゃないか」


「なっ、何ですか?」


 リーダーが目を付けたのは、ポニーテールの女の子。

 確かに可愛い。高嶺の花って奴。


「学校を占拠したついでだ。お前を私達の仲間にしてやるよ」


「嫌! 離して下さい!!」


「ヘッヘッヘッヘ、心配する事はない」


 ちょっとリーダーいやらしいですよ。

 彼女嫌がってますし。


「誰かあああ!!」


「よいではないかよいで――うっ!!」


「リーダー!?」


 あれ? どうしたリーダー……って、頭に包丁刺さってる!?

 家庭科に使うアレが、何でこんな所に!?


「そこまでだ。彼女から離れろ」


「「何奴!?」」


 俺達が一斉に廊下を見ると、そこには平凡な容姿をした平凡な男子がいた。

 

 こいつが包丁を投げたのか……。

 あれっ? て事は……。


「クソおおおおお!!」


 うぉ!! いきなり銃を撃つなよ!!

 しかもその男子、凄い身軽で回避したぞ!! しかもリーダーの銃で反撃しちゃった!!


「あべし!!」


 眉間に銃弾を喰らい、倒れてしまう仲間。


 間違いない……こいつは「平凡な癖に、テロリストが来るとチートになる男子」だ……。

 もう俺達、死んだも当然だ……。

  

「もう他は倒した。後はお前達だ」


「何だと!!」


「こっちに来い」


 チート君がどっかに行ってしまった。

 やべぇ罠だ……俺は絶対に行かんぞ……。


「何してる!! さっさと来い!!」


 ですよね~。ああ、もうどうにでもなれ!!


 俺と上司が廊下に出るけど、奴の姿が見当たらない。

 やっぱりこれ罠じゃん。

 

 早く逃げた方が……。


「ひでぶ!!」


 うぉ!! 上司の脳天が一撃!?

 あいつ、後ろにいたのか!? くそ!!


「喰らえ――」


「終わりだ」


 あっ、もう頭に銃口が……。もうこれ死亡フラグだわ。

 どうしよう……今から命乞いをすれば何とか……、


「たわらば!」


 そんな上手い話はありませんでした。

 俺も脳天を撃ち抜かれてしまい、後ろへと倒れ込む。


 ただ意識があった……朦朧とする視界に、あのポニテの女の子が入ってきた。


「ありがとう! 助かったわ」


「いや、こんなの当然だよ……」


 何が当然だよ……お前、仮にも人殺しなんだぞ……。

 何で美少女に褒めら……


 ――メンバーA死亡。思考記録装置はここで終了しました――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

学校にテロリスト。だがテロリスト視点だ。 ミレニあん @yaranaikasan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ