夢日記

湿原工房

2005年11月30日(水) 大阪

 一限目だけの授業を終えて(※1)書店(※2)に立ち寄り、立ち疲れて帰り、帰り道にチャーシューマンとカレーマンを買って食べ、家(※3)につくと溜め込んだ洗濯物を洗濯機に放り込んで、それも忘れて17時まで寝た。

 夢を見た。私は少女漫画を読んでいたのか、一昔前の少女漫画タッチの太り気味の主人公(男)が、アパートの一室――それは私の住んでいる部屋だった――で生活していた。スーパー(※4)の帰りに歌を歌いながら歩いていた。「460円四万十ラーメン」(※5)という存在しない商品名をひたすら繰り返す歌だった。いつのまにか彼は私になっていた。

 公園のそばを通るとき、公園の形が違っていることに気が付いた。道を間違えたかと思ったが、公園の向こうには私の住むアパートが見えていた。公園の外縁を回ってアパートに向かう。交差点の角を折れたとき、ある一軒からスーツ姿の男が出てきた。いつしか私はたたまれた傘を持っていて、手遊びにくるくる回していた。またこれもいつの間にかウォークマンも耳にしていたらしい。音量は絞ってあるようで、くるくる回す傘を掴みそこねたとき、微笑ましく思ったような笑い声がくすくす聞こえた。私は照れかくしにおどけつつ、手遊びを再開した。ふと私の足もとに後ろから伸びてくる影があるのに気付いた。歩く私の足から少しずれたところに、人の頭の影が揺れながら追い越してきている。道は広いのに、私を追い越そうかという影の位置は、ずいぶん私に近くに落ちていた。――あの一軒家から出てきた男か、と私は思いながらも、気づいていないかのように傘をくるくる回した。男がずんずん近づいてくるらしいことが、目の隅の影から分かった。恐怖を感じ、たまらず歩を速めた。が、影は離れないばかりか私にさらに詰め寄ってきた。もはや次の瞬間私が駆け出しても彼の腕を逃れることはできないだろう距離まで差を縮められている。

 私は意を決し、抵抗しようと振り返ったが早いか、押し倒され、のどに男の両手が巻きつき、締め上げられた。やはりさっき出てきた男だった。むちゃくちゃに抵抗し、叫んだ。助けを求めた。――はっと目を覚ますと私はアパートの自室にいた。と、インターホンが鳴った。ノックがした。インターホンが鳴った。私は恐怖にからだを強張らせ、返事をしなかった。物音が立たないようじっとしていた。やがて訪問者は諦めたようだったが、芽生えた恐怖心は容易に収まらなかった。カーテンの隙間が怖かったが、レールはそこまでしかなく、窓の外が覗いていた。さっき、首を絞めた男が見ているような気がした。どうやってあの状況から助かったのか分からない。

 混乱した思考のなか、背後から父の声がして振り向くと、そこは私の実家の一室だった。祖母が病院に行くから連れていくんだと言う。そのことはたしかに今朝言っていたと私は朝の会話を想起していた。私は一人家で留守番をすることになっていた。ここには二階もあるし、いざとなれば二階に逃げ込めばいい、そう思ったが、アパートのワンルームに二階はないことを思い出し、頭が混乱した。

 父が祖母と話してこいと言うから、祖母の部屋に向かった。そこには母もいた。私は祖母に話しかけようとして目が覚めた。私はアパートの一室にいた。




※1 このころは専門学校で一年を単位か出席日数不足で留年していた。

※2 専門学校最寄の天満橋駅上階にあるジュンク堂書店だろう。

※3 エステマール大阪城の一室、1K(?)。天満橋駅から京阪で一駅の京橋で降り、そこから歩いて10分ほどだったか、鴫野というところに建っている。京橋駅からJRに乗換え大阪城ホール前駅で下車すれば、5分程だったか。ただそういう帰り方はしたことがない。6、7階建てで部屋は103号だった気がする。

※4 実際よく利用していたスーパー玉出。安い。

※5 俺の実家のほうには四万十川という川があるが、四万十ラーメンという商品はない。あったとしてもその存在を知らない。

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