ブラ……、いや、兄妹が行う飽くなき思考実験。

読ませていただきました。

妹を庇い大怪我をしてその人生を大きくねじ曲げてしまった兄。そしてその兄を心から慕う妹の話です。

ミステリーですのでもちろん推理するのですが、役割的には、思考する兄。行動する妹。といった感じでしょうか。

完璧なまでに純度100%の妹による一人称視点。もはや読者に話しかけているレベル。とても入り込みやすかったです。

またこの作品のレベルをさらに底上げしているのは、「カイン・コンプレックス」や「シャドウ」といった心理学用語。私自身いくつか知っていますが、もちろん知らないものもありました。それを一つ一つ台詞の中で説明し、読者を置いてきぼりにしない配慮はとても素晴らしいと思いました。

一人称は少し苦手なのですが、それを補って余りある魅力がある作品です。

唯一難点を挙げるなら、1話が長い事でしょうか。実際の本であれば気にはならないのですが、どうしてもPC、携帯端末で読むと途中で息をするポイントが欲しくなってしまいます。
他の方のレビューにも書いた事ですが、物語の「起承転結」に合わせて話を区切るのも一つの手かなと思います。
あくまで私ならそうするという話です。

改めて、とても面白かったです。

長文、失礼しました。

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