★★★ Excellent!!! こういう作品があるからスコップはやめられない 人見 鳴海 WEB小説の潮流で言えば転生系の異世界ファンタジー。ただし承認欲求の代替かのような安易なチーレムは無し。 劣等感や孤独感を抱えていた主人公が、異世界での出会いと経験を通じて前を向きに生きるようになり、居場所を守るために戦いに身を投じる……というのが本筋。 が、この物語が主人公の成長を主軸にしてるとは簡単に言いたくない。生きる中で何かを背負い、常に悩む。挫けるし無力さにも泣く。それも何度も。葛藤を乗り越えて誰もが思い描くヒーローになるような単調な成長物語ではないからこそ人物像に厚みがある。読み応えがある。90万字をノンストップで読めてしまう程面白い。 技術的にも高い。たまにある無料で読めてしまうのが申し訳なくなるタイプの作品。 レビューいいね! 0 2021年12月28日 15:23
★★★ Excellent!!! 全霊を以て推挙したい。ファンタジー戦史の本物がここにある。 馳月基矢 初めに、10代の頃に私が好きだった作家を挙げる。 同じ作家に1度でも嵌まった経験がある読者には、 『罪人のレプリカ』に興味を持っていただきたい。 田中芳樹、松枝蔵人、水野良の作品は最も影響が強い。 ただ好きだった、ファンだったというだけではなく、 私が歴史学の道へ進む重要なファクターとなった。 菊地秀行の残酷さと妖艶さ、久美沙織の芸達者で繊細な語り口、 高畑京一郎のロジカルな写実性、時雨沢恵一の乾いた冷静さ、 土門弘幸の骨太さと土臭さ、上橋菜穂子の重厚で立体的な世界観、 80年代から90年代のリアルタイムより少し遅れて、 私はこうした作家陣のファンタジーとSFに触れ、 その名作に並び立つくらい強い物語を書きたいと憧れた。 『罪人のレプリカ』は、その系列にある小説だ。 とりあえず断っておくが、このレビューは非常に長い。 というのも、この『罪人のレプリカ』が非常に長いためだ。 約93万字にも及ぶ4章立てで、分厚い単行本4巻分に相当する。 率直に言わせてもらえば、クレイジーな長さだと思った。 その字数、『銀英伝』ならヤンが死ぬあたりまで行くし、 『アルスラーン』ならとっくに王都奪還できてしまうし、 『瑠璃丸伝』や『ロードス島戦記』本編は完結するし、 小説版『ドラクエ』天空三部作にも迫る勢いだと思う。 通常の文学賞の応募要項には長さの上限が定められており、 エンタメ系では、多くても原稿用紙600枚(約20万字)だ。 もともと無限だったメフィスト賞でも現在は720枚である。 ウェブ小説じゃなかったら、93万字が1冊とかあり得ない。 去年、上限600枚の文学賞に応募した際、アドバイザーから 「なるだけ短い枚数に抑えるほうが有利だ」と助言を受けた。 無名の新人による作品なら、短ければそれだけ安価だから、 高価な大長編より、冒険的に買ってもらえる可能性が高い。 長い… 続きを読む レビューいいね! 0 2017年2月14日 02:00
★★★ Excellent!!! 辿り着いた異世界で、求めた居場所 @ri-ru- 超能力が発展した世界から、実験事故で異世界に辿り着いた落ちこぼれ超能力者の少年ニールが、様々な人と関わって成長していくお話しです。 はっきり言いますが、何故ここまで評価されていないのか不思議なくらい、すごく面白かったです。 少しずつ、自分と向き合って成長していく主人公、彼を支えるヒロインや、愉快ながらも信念をもった仲間たちと、魅力的なキャラクターが多く、また、戦闘描写、心理描写、技術描写も文句の付け所がありません。特に、自分の罪に苦しむ主人公の姿は正に『人間的』で、作者様の技量に感嘆しました。 『超能力』『異世界』『罪人』『レプリカ』、全てのテーマが見事に混ざり合い、一つの物語になっています。 繰り返しますが、本当に、何故ここまで評価されていないのか不思議な作品です。 レビューいいね! 0 2016年6月26日 18:26