罪人のレプリカ

作者 カスイ漁池

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8人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

初めに、10代の頃に私が好きだった作家を挙げる。
同じ作家に1度でも嵌まった経験がある読者には、
『罪人のレプリカ』に興味を持っていただきたい。

田中芳樹、松枝蔵人、水野良の作品は最も影響が強い。
ただ好きだった、ファンだったというだけではなく、
私が歴史学の道へ進む重要なファクターとなった。

菊地秀行の残酷さと妖艶さ、久美沙織の芸達者で繊細な語り口、
高畑京一郎のロジカルな写実性、時雨沢恵一の乾いた冷静さ、
土門弘幸の骨太さと土臭さ、上橋菜穂子の重厚で立体的な世界観、

80年代から90年代のリアルタイムより少し遅れて、
私はこうした作家陣のファンタジーとSFに触れ、
その名作に並び立つくらい強い物語を書きたいと憧れた。


『罪人のレプリカ』は、その系列にある小説だ。


とりあえず断っておくが、このレビューは非常に長い。
というのも、この『罪人のレプリカ』が非常に長いためだ。
約93万字にも及ぶ4章立てで、分厚い単行本4巻分に相当する。
率直に言わせてもらえば、クレイジーな長さだと思った。

その字数、『銀英伝』ならヤンが死ぬあたりまで行くし、
『アルスラーン』ならとっくに王都奪還できてしまうし、
『瑠璃丸伝』や『ロードス島戦記』本編は完結するし、
小説版『ドラクエ』天空三部作にも迫る勢いだと思う。

通常の文学賞の応募要項には長さの上限が定められており、
エンタメ系では、多くても原稿用紙600枚(約20万字)だ。
もともと無限だったメフィスト賞でも現在は720枚である。
ウェブ小説じゃなかったら、93万字が1冊とかあり得ない。

去年、上限600枚の文学賞に応募した際、アドバイザーから
「なるだけ短い枚数に抑えるほうが有利だ」と助言を受けた。
無名の新人による作品なら、短ければそれだけ安価だから、
高価な大長編より、冒険的に買ってもらえる可能性が高い。

長い… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

超能力が発展した世界から、実験事故で異世界に辿り着いた落ちこぼれ超能力者の少年ニールが、様々な人と関わって成長していくお話しです。

はっきり言いますが、何故ここまで評価されていないのか不思議なくらい、すごく面白かったです。
少しずつ、自分と向き合って成長していく主人公、彼を支えるヒロインや、愉快ながらも信念をもった仲間たちと、魅力的なキャラクターが多く、また、戦闘描写、心理描写、技術描写も文句の付け所がありません。特に、自分の罪に苦しむ主人公の姿は正に『人間的』で、作者様の技量に感嘆しました。

『超能力』『異世界』『罪人』『レプリカ』、全てのテーマが見事に混ざり合い、一つの物語になっています。

繰り返しますが、本当に、何故ここまで評価されていないのか不思議な作品です。