愛憎の季節


 貴方の夢をみました


 溜め息がでるほど途方もない魅力に見蕩れていました


 私が夢から醒めると空っぽの心から涙が止めどなく溢れるのです


 それは貴方が私の知らない街にいるからなのでしょうね


 貴方と一緒に過ごした街はとても静かになってしまいました


 一緒に聴いた楽の音も


 一緒に歩いた街も


 貴方と一緒ならどんなさえないものでさえ


 どんなさえない場所でさえ


 心が踊り満たされました


 貴方は本当に完璧な人です


 今の貴方の瞳にはいったい誰が映っているのでしょう


 私ではないことは分かっています


 ですがそれを考えるだけで私の心は気が狂ってしまうのです


 私はこの唄を終わらせません


 私はこの詩を終わらせません


 もし終わらせてしまえば貴方が消えてしまうから


 最後の小節はいつまでも残しておきます


 貴方にまた出会えた時に


 私はこの節を終わらせられるでしょう


 そんな私は誰より卑しい

 

 誰より浅ましい


 誰より醜い


 これが愛なのでしょうか


 私だけの愛憎なのでしょうか


 私には分かりません


 愛とはいったいなにか


 愛とは人を愚かにし醜くするのでしょうか


 私には分からないのです

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煉獄の色 酒松楓 @kawame_sakamatu

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